第26話

「墓泥棒と変わらない。ついでに呪われるとでも言うつもりだったか? お前が、かつてそうだったように」


 璃兵衛がそう言うとレンは黙り込んでしまった。


「呪われるなど今更だ。それに幸なことに呪いには耐性がある」

「だとしても、俺がお前を止めない理由にはならない!」

「ならば、俺もお前に止められる理由はないだろう?」

「お前に恐れというものはないのか?」

「そんなもの……慣れすぎて、とうに忘れた」


 璃兵衛の言葉は本心からのものだったが、どう受け取ったのか。

 レンはじっと璃兵衛を見ていた。


「ここまでするのは、お前自身の目的のためか?」

「目的と言っていいのかはわからないが、俺はただ知りたいだけだ。なぜこんなことが起きているのか、空っぽの遺体の謎を俺は知りたい」


 璃兵衛は内から出てこようとする何かをなだめるように左胸をおさえた。


「なぜ、どうして、どんな目的があって……そのことを考えるだけで、ここがうずいてしかたがない。まるで、今にもどこかに飛び立とうとする鳥の羽ばたきのように」

「……勝手にしろ。ただし勝手なところに、お前の魂を飛び立たせるなよ。お前の魂は俺の魂でもある。代償を忘れるな」


 レンは璃兵衛に背を向けると、その場を後にした。

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