幼馴染の距離感覚
「弘香ちゃん。早く体調良くなると良いけどなぁ」
洗い物も終わり、ひと段落。
弘香ちゃんのお母さんには、幼馴染とあって信頼されているのもあり、いつでも家に出入りして、好きにしていいとの許可は貰っているけど、キッチンを借りた報告はしないと……。
「ちょっとしてからまた弘香ちゃんの様子見に行こう」
◆
「お邪魔します……」
1時間後。スポーツドリンクと熱冷シートを持って弘香ちゃんの部屋のドアをそっと開ける。
「…………すぅ」
「寝てるね」
目を閉じ、微かに寝息を立ていた。
最初に部屋に来た時よりは、苦しそうな顔はしていない。息も……乱れていない。
お粥を食べて、薬を飲んだらそれなりに良くなったのかな。
ならば、僕にできることはもうない。
あとは弘香ちゃんが寝るだけ。たくさん寝て、たくさん汗をかいて、悪いものを出して……1日でも早く熱が引くといいなっ。
ピロン! ピロンピロン!!
不意にスマホの着信が連続で鳴ったものだからメッセージをその場で確認すると……。
斗樹:【おいこら、幼馴染。何カッコつけて看病行っていやがる!】
純矢【ワシらだって行きたいんだぞ! 幼馴染だからって自動的に行けやがって!!】
「うん、幼馴染だからね」
2人からのメッセージを見てそんな感想しか出ない。というか、僕が弘香ちゃんの看病に行くために早退したの、バレたか。
明日は質問攻めにされそうだなー。
ふと、弘香ちゃんを見る。
学園では高嶺の花。気軽に話せないというクラスメイトもいるだろう。
でも僕は幼馴染だから……。
「これくらい普通だよね……」
看病する理由なんて、幼馴染だからで完結できる。
斗樹と純矢にメッセージを返す。ある程度したら授業が始まるのか、会話が途切れた。
座っていた僕は立ち上がり、部屋を出ていことしたけど……。
「ふぁ……。あー……なんだか眠いなぁ」
目を擦るも、眠気は増して。
少しだけ、少しだけなら寝ても……。
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