おさななななななな

「……すぅ」

「………」

「………んー」

「………」


 …………んぅ?? 違和感を感じる……。


 まだ眠たい目を擦りながらゆっくり起きる。


「………ん? おおおおお!???」

 

 薄々と目を開くと姉の優捺ゆなつがすぐ隣にいた。悔しがった顔をしているのはなんで?


「な、なんでねーちゃんが!? というか学校は?」

「ん、今からだけどぉー?」

「今から? え、今何時なの?」

「6時15分」

「めっちゃ早起きじゃん」


 いつも大体7時に起きれば学校に間に合っている。


「アンタ、今日はヒロがいないんだから起こしてもらえないでしょうが」

「あっ……」


 そうだ。弘香ちゃんは昨日熱を出して今日は学校をお休みするんだ。だから今日の学校は1人で行かないと。


「この優しいお姉様が起こしにきてあげたんだから感謝しなさい」

「えっ、本当にありがとう」


 ねーちゃんが起こしてくれなかったら多分寝過ごしていたはず。看護師をしている母さんも今日は早めの出勤だし、誰も起こしてくれる人がいなかった。


「そんなに素直に感謝されると遅刻しないかなって見ていたアタシがバカじゃない」

「そんなことを思いながら弟の部屋に居座らないでよ、全く……」


 ベッドから降りて軽く体をほぐす。


「じゃあお姉様は学校行ってくるから。あと今日も午後から雨だってさ」

「はぁーい」


 ドタドタと慌ただしく階段を降りる音を聞きながらゆったりと制服に着替える。今日は朝ご飯もゆっくり食べれそうだ。


 着替え終わって窓を開いて見えるのはカーテンが閉め切ってある弘香ちゃんの部屋。


「弘香ちゃん、大丈夫かな。少しでも体調が良くなっているといいけど……」





「4限目はこれで終わりだ。あと明後日は小テストするから各自勉強しとけよー。ちゃんと成績に響くからなぁー」

「「えーー!!」」


 担任の教科である数学の授業終わり、最後にそう言われてクラスが騒がしくなる。


「小テストとか最悪だ〜〜」


 頭を抱える斗樹とともに、純矢もぼさつ顔をしていて絶望的な様子らしい。


「旭晴は随分と余裕そうな顔だな」

「僕も余裕じゃないよ。むしろ2人と同じ気持ち。でも弘香ちゃんに教えてもらうから」

「頭の良くて美人な幼馴染を持っていていいなぁー! そういえば西堂さん、今日は休みなんだろ?」

「うん、熱が出ちゃって……」

「それは早く良くなるといいな」

「西堂さんが熱……。それだったら旭晴は看病でてっきり休むかと思ったなぁ」

「うちの先生が幼馴染の看病しますって言って休ませてくれると思うか?」

「思わないね。ああ、先生行っちゃう! じゃあね斗樹、純矢!」

「おーう」


 僕は先生に追いつくため、あらかじめ荷物を詰めていたスクールバッグを肩にかけて教室を出た。




「ん? 旭晴のやつ、バッグまで持っていかなかった?」

「おお、確かに。バッグを持っていくなんてまるで早めに帰るみたいなだぁ、ハッハッハッ……えっ、帰る?」

「アイツまさか……!!」








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