天然物巨乳には抱き上げたくなる従姉妹がいるらしい
話題は卒アルや学級文集に移る。
「みんな変わってないな〜」
「旭晴くんが変わりすぎなんですよ。あと弘香さんも」
「私はオマケみたいな扱いなのね」
「むしろメインみたいなものですよ。明らかな成長が見えるではありませんか。私もその秘訣知りたいですね、うふふ」
「………」
日奈乃ちゃん、弘香ちゃんが胸ネタに弱いことに気づいてるのかな?
「はいはい、2人とも睨み合わない。次は学級文集を見てみよう」
みんなで作った学級文集を開く。個人のページが綴られており、めくっていく。
次は日奈乃ちゃんのページになった。
「得意なことは料理……そうだよね、日奈乃ちゃん、料理上手だったもんね」
「ありがとうございます。あれからも結構上達しているのですよ? いつか旭晴くんに手料理を振る舞いたいです」
「手料理! うん、いつかを楽しみにしているよ!」
きっと100年後くらいかな〜。
「私的には明日にでも振る舞えますけどね。それではあーん」
ん? それでは?
自然な流れであーんになったんだけど……。
「えーと、この唐揚げは日奈乃ちゃんが作ったんじゃないよね?」
「はい、私は作ってませんよ」
それでも日奈乃ちゃんは唐揚げを笑顔で僕の口元に差し出したまま。
「どうしたんですか? なにも遠慮することはないですよ」
「遠慮っていうかなんというか……後ろが怖い」
ただならぬ気配を感じる。弘香ちゃん怖いよ……って、なんで次は自分の番とばかりにエビフライをスタンバイしているのさ!
「旭晴くん、早く食べてくれないと……みんなの視線が……」
周りを見ていると、みんなの注目がこちらに向いていた。そりゃマドンナがあーんしていたら注目を浴びるか。
「旭晴くん……食べてください」
「うん、唐揚げをだよね……! あ、あーん」
唐揚げを一口。うん、ジューシーで美味しい。
「どうですか?」
「美味しいけど……」
「うふふ、良かった」
なんか凄く喜んでいるけど、日奈乃ちゃんが作ったわけじゃないよね?
あとで店主さんに美味しかったですって言おう。
「弘香さんもどうぞ」
「ええ、遠慮なく」
「ひ、弘香ちゃん……なにそれ?」
「見ての通り熱々の肉まんだけど」
「自分で熱々って言っちゃてるじゃん!」
そう、湯気がたっている肉まんを差し出されたのだ。弘香ちゃんがペーパーナプキンナプキンを何枚も重ねていることから相当熱い。そして僕があーんされている間に、せいろ蒸し器から取り出したの、見てたんだからね!
「旭晴。私のも遠慮なく食べていいから」
「いや、その……すごく遠慮した——」
「あーん」
「つぅ………」
僕は意を決して口を開く。そうしなければいつまでも終わりそうになかったから。
そのあとはどうなったかというと……氷入りの烏龍茶が入ったコップを片手に、僕の口数が減った。
◆
高校生という身なので、夜遅くまでというわけにもいかず、同窓会は9時解散となった。
「旭晴またな〜!」
「今度そっちの女子との合コン頼んだぞ〜!!」
「はいはい。そんなのないから早く帰って〜」
合コンっていうワード出さないでよ、隣の弘香ちゃんが怖いじゃん。
「旭晴ってば、ついには女の子をはべらかすようになったのね」
「はべらかしてないしよ! それに、はべらかす以前に僕が女の子にモテるとかないから」
モテてたら今頃彼女とかいるだろうし。
「………」
「いたっ、弘香ちゃん無言で横腹をつねらないで!」
今日は弘香ちゃんの機嫌が悪いなぁ〜。
帰りの電車の時間もまだまだあるし、どこかで時間を潰そうとぶらぶらしている時だった。
「あれ? 日奈乃ちゃん?」
先程別れた日奈乃ちゃんがベンチに座っていた。その目の前にはマンションがある。
「あら、待ち伏せかしら」
「弘香さんは私を何だと思っているのですか、もう……」
「ふふ、冗談よ。女の子が、それも貴方みたいな可愛い子がこんなところで1人でいるなんて危ないわよ」
「お気遣いありがとうございます。ですが、心配はいりませんよ。今、従姉妹が一人で暮らしているこのマンションに泊まらせてもらおうと思いましてLINEで頼んでいるところでした」
「へぇ、従姉妹! 日奈乃ちゃんの従姉妹なら絶対可愛いね」
「はい。とても可愛いですよ。会ったら思わず抱き上げてしまいます」
ってことは小さい子なのかな。 あれ? でも1人暮らし……?
「あ、返信が……泊まってもいいらしいので、私はこれで。またお会いしましょう旭晴くん、弘香さん」
「うん、またね!」
「ええ、またどこかで」
マンションの中に入っていく日奈乃ちゃん。
しかし、このマンション……大きくて立派な建物だ。これだけの規模だと、家賃もかなり高いに違いない。
バイトを何個掛け持ちしたらこんなところ住めるんだろうなー。
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