【中学編】揉めるまな板VS巨乳ランキング1位 ②

 こちらへ戻ってきた橋本さんが何を言うと思いきや、調理実習の班のお誘い。そういえば来週あるんだっけ?


「僕と?」


 一旦、頭の中で整理して再度、疑問に思う。なんで僕なんだろう。橋本さんとはたまに話すくらいなんだけど……。


「はい。ぜひ楓くんと班を組みたいんです」


 橋本さんは本心から思ってる、というような爽やかな笑顔を見せた。


 僕はというと、やっぱり疑問が浮かぶ。


 クラスの中にはサッカー部のイケメンや その中で僕みたいな普通の男子を選ぶなんて……。

 もしや料理ができる人を探しているかもしれない。失敗しちゃたら嫌だしね。いや、でも橋本さんって料理できたような……。

 

「こほんっ!」

「ん? 弘香ちゃん咳き込んでどうしたの? 風邪?」

「さぁ。誰かが噂しているのかしら」


 それならくしゃみじゃない?


 心の中でツッコんでいると、弘香ちゃんが僕の前に出て、


「橋本さん。悪いけど、旭朝は私の班に入る予定だから。ねぇ、旭晴?」

「う、うん……」


 ニコォォとした意味ありげな笑顔だったので反射的に頷いてしまった。

 調理実習の班は自由に決めていいと言われているが、弘香ちゃんの班に入るというのは初耳である。

 でも弘香ちゃんが料理ダメなことは現時点で幼馴染の僕しか知らないし、フォローに入る必要はありそうだよね。……同じ班の子を、料理で気絶させないためにも。


「楓くん、言わされている感じがしますよ?」

「気のせいじゃないからしら。本人がそう言っているのに、信じないのね」

「むぅ……じゃあ私も西堂さんの班に入らせてもらいます。班は4人ですから」

「あら、引かないのね。クラスのみんなが見てる中でも」

「ふふっ。今はクラスは関係ありません。私は楓くんと一緒に調理実習をしたいんですから」

「………」

「………」


 ……なんでだろう。美少女と美人が会話しているだけのはずなのに、背後に何か恐ろしい気配を感じるのはなんでだろう。


「やっぱり橋本さんって旭晴が……」

「チクショウ! アイツだけは認められねぇ!」

「なんで俺たちと同じおっぱい星人のアイツに惹かれちまうんだよ……ッ!」


 朝の教室にクラスメイトも増え始めた。

 男子がすっごい落ち込んでいるんだけど。女子は……なんか盛り上がってる?


「来週の調理実習でどちらが魅了できるか、勝負しませんか?」

「ええ、いいわよ」


 少し目を離しているうちに話が進んでる。

 会話からして何かしら勝負でもするのだろう。


 ここで2人を振り返ってみる。


 橋本さん

 巨乳で可愛い。誰にでも優しい。料理上手。すごいモテモテ。

 巨乳ランキング1位

 


 弘香ちゃん

 揉めるまな板。物事をはっきりいうタイプ。料理は……あー。

 まな板ランキング1位保持者。

 

 うん、負けてない負けてない。幼馴染まな板は負けヒロインじゃない。


「あの、楓くん」

「ん?」

「来週の調理実習、よろしくお願いしますね。私、頑張るのでっ」


 胸の前でぐっと、拳を作り意気込む橋本さん。そのちょっとした仕草が可愛い。さすがマドンナ。


 おっぱいも大きいしね。拳と比べて何倍も大きい双丘。調理実習より、こちらの自由研究をした方がいいよね。


 そんなことを考えながら振り返ると、ニコォォと笑顔の弘香ちゃんがいた。




 迎えた調理実習、当日。


「えー……本日作るのはハンバーグです。材料は説明後取りにきてください。注意事項は……」


「ハンバーグですって、西堂さん」

「美味しくて失敗が少ない定番料理ね」

「お互いに頑張りましょうね」

「ええ、もちろん」


 家庭科の先生が説明しているのにも関わらず、僕の両端の方々は、すでにやる気満々みたいだ。


 僕は無事に料理が完成するようにサポートするだけだ。特に弘香ちゃんの。……弘香ちゃんの(2回目)



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