娘が美少女なら母親は美人である①

「………旭晴って女の子ホイホイよね。しかも可愛い子ばかり」

「そう?」


 荷物を持つ僕の隣で、弘香ちゃんがまだちょっと不機嫌そうである。


「気がつけば女の子といるじゃない」

「たまたまじゃない?」


 日菜子ちゃんも早苗ちゃんと美月ちゃんも。そして日奈乃ちゃんも。たまたま会うだけだと思うけど。


「そういう、無自覚で済ませるところが女の子ホイホイなのよ」

「そうかなぁ〜」


 そんな雑談をしていると、弘香ちゃんの家についた。

 ドアを開けてもらい入る。

 フローラルな香りが鼻を通った。我が家も芳香剤置いてるけど、ここまでいい香りはしないなぁ。


「ただいまー」

「お邪魔しまーす」


 弘香ちゃんの家は、弘香ちゃんが熱を出した時に上がった時以来である。


「おかえり〜。ヒロちゃんっ。ハルくんっ」


 靴を並べていると、パタパタとスリッパを鳴らしながら、穏やかな笑顔の女性が来た。

   

 おっぱいが揺れている。

 弘香ちゃんのお母さんだ。

 

 弘香ちゃんの同じ、髪色。ゆるりとパーマがかかった黒紫色のロング。

 上はシンプルに白いタンクトップにガウンワンピースを羽織っている。

 下は、ジーンズを履いているが……むっちりとした太ももがわかるぐらいのボディライン。

 相変わらず、どう見ても40代とは思えない若々しさ……弘香ちゃんが美少女ならお母さんは美人だよね!!


 そして……存在を主張する胸の大きな二つの果実。素晴らしい。まさかに胸の理想系と言ってもと思う。

 弘香ちゃんも将来的には……。


「ハルくんどうしたの?」


 おっと、ガン見ていたのがバレてしまったか。


「今日も弘香ちゃんのお母さんは綺麗だなって見惚れてました!」

「あらあら〜。嬉しいわ〜」


 ぽっ、と照れてくれる弘香ちゃんのお母さん。うんうん、褒めがいがあるよね。


「………」


 弘香ちゃんから何か言いたげな視線を感じるが気のせいだろう。僕はただ、素直に女性を褒めているだけだから。


「ハルくんも大きくなったわね〜」


 弘香ちゃんのお母さんが僕の体を隅々まで確認し始めた。


「身長はどのくらいになったの〜?」

「172くらいですかね。でもまだまだ伸びると思いますよ」

「成長期だものね〜。体つきも良くなって〜」


 そう言って、僕の腕をペタペタの触ってきたので僕は少し力を入れてみる。ぐっと、と腕が硬くなったのを僕も感じる。


「あらあら〜。男の人の体つきだわ〜」

「これからもっと鍛えます!」

「もっとカッコよくなるわね〜」

「………。んんっ!」

「ん?」

「あらあら〜。うふふ」

 

 弘香ちゃんが大きな咳をして、僕の制服の端を引っ張る。

 そろそろ玄関での雑談は終わりなさいってことかな?

 

 おっと、挨拶はちゃんとしとかないと。


「お久しぶりです、弘香ちゃんのお母さん!」

「久しぶりね〜。この間はヒロちゃんの看病ありがとうね〜」

「いえいえ。幼馴染として当然です!」

「あらあら〜。ヒロちゃんもこんなに優しい幼馴染がいて良かったわね〜」

「………はいはい。その台詞は、もう何度も聞いたから」


 弘香ちゃんは少し頬を染めて、スタスタと先に行った。


「ふふふ。ヒロちゃんってば意外と照れ屋なのよ〜」

「そうみたいですね」

「それにしても、弘香ちゃんのお母さん、はよそよそしいくないかしら?」

「そうです? でも僕はおばさんとは呼びたくないですね」


 弘香ちゃんのお母さん、すっごく美人だし。おばさんと呼ぶくらいなら多少長くても弘香ちゃんのお母さんの方がいい気がする。だからずっとそう呼んでるしね。

 名前呼び方はまた、本人の許可みたいのとか———


「あらあら。本当に口が上手い子になったわね〜。じゃあ、香織かおりさん、はどう?」

「了解です、香織さん! 今日は夕食ご馳走になります!!」

「は〜い。じゃあ荷物をキッチンまでお願いできるかしら」

「もちろんです、香織さん!」


 僕は笑顔でキッチンに材料が入ったエコバッグを持っていくのだった。

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