2人っきり幼馴染
「あの……弘香ちゃん?」
「……」
「おーい弘香ちゃん」
「……」
お話してくれないのね。依然、背中に頭をぐりぐりさせている。
どーしたのだろう。なんか不機嫌そうだし……。この場には僕しかいないなで僕が何かしたのだろうけど。
「……のに」
「え?」
背中越しの言葉。今度は聞き取れなかった。聞き返そうと振り向けば、むすっとした表情の弘香ちゃんの向き合う形になる。
そのままジーと見つめてみると、口が動いた。
「私とお昼食べるのに……」
……あ。
数秒考え、ハッとした。
これからご飯を食べようって時に、日菜子ちゃんのところへ行こうとしていたら怒っちゃうよね……。うん、多分これだ。弘香ちゃんはお腹が空いているかもしれないし。
「えーと……日菜子ちゃんを見つけたらなんか話しかけたくなって」
「……変態」
「なんで!?」
知り合いを見つけたくなったら話しかけたくなるやつだよ……!
「とにかくごめんね」
「……別にいいわよ」
口では納得したみたいだったが、やはり機嫌は損ねてしまったらしく。弘香ちゃんは僕の服の裾を控えめに握り、空き教室に着くまで離さなかった。
◆
昼食を済ませたあと、ゆったりと雑談。
「旭晴。今日の放課後は一緒に帰れる?」
「何もないから帰れるよ。明日は日直だから無理だけど」
「そのくらい待つわよ」
弘香ちゃんの機嫌は戻ったようで、今は優雅に紅茶のペットボトルをお飲みになっている。
と、ピコーンとスマホが鳴った。
「弘香ちゃんの?」
「ええ」
僕は今日にスマホ置いてきたし、やっぱり弘香ちゃんのか。
スマホを操作している弘香ちゃんを尻目に僕もお茶を飲もうと蓋を開けていると、
「っ!?」
「え、なに」
弘香ちゃんが突然立ち上がった。何事かと思えば、スマホの画面を突きつけられた。
画面は中学3年のLINEグループの会話トーク。
『みんな元気にしてるか! いきなりだけど今週末クラス会やろうと思うんだけどどう? お互いに高校の制服とか着てさ!』
「……これがどうしたの?」
懐かしい中学の友達との再会じゃないか。なのに弘香ちゃんは何やら焦った様子。
「私、中学はずっとサラシ巻いていたじゃない」
「そうだね」
「……どうするの?」
弘香ちゃんがやけに困ったような顔で僕を見つくる。
中学時代を思い出す。
まな板ランキングが弘香ちゃんに見つかった。
弘香ちゃんの胸を揉んだ。それは大きくなるように気持ちを込めて揉んだ。
中学3年になって弘香ちゃんの胸が急激に成長した。しかし、大きなったことを隠すためにサラシを巻いて胸を押さえて……。
理解が追いついた。
つまり……。
——中学の同級生は弘香ちゃんが
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます