幼馴染と放課後、買い物
「じゃあな旭晴。くっくっくっ……」
「また明日な。ふふふ……」
「うん、また明日ねー」
放課後。
林間学校の班に弘香ちゃんが入ることが決まったことが嬉しいのか、妙にニヤニヤした笑みを浮かべる斗樹と純矢。そんな2人と別れて、僕は学校を出た。
「それにしても林間学校かぁ……」
中学の頃も行ったことあったっけ。あの時、一番印象に残ったことは……。
『ちょっと男子! お風呂覗かないでよ!』
『ばっ、お前らの裸なんて興味ねーよ!!』
思春期真っ只中という中学時代。お風呂の時間になり、男女のそんな掛け合いがあったな。
しかもお風呂とは、露天風呂。外である。竹で作られた仕切りがあるものの、声が筒抜けで聞こえるほどの、近距離の隣り合わせ……。
仕切りが竹だから隙間から見えそうで見えない……。それでも諦めず、頑張って覗こうとする男子もいたなぁ。
僕というと、そんなことはせずゆっくりと温泉に浸かった。水に滴るいいおっぱいを見るには、まだ段階が足りないからね。うんうん。
でも、温泉に入って視線を動かせば男のプリケツだらけだったのは軽くトラウマである。
ちなみに弘香ちゃんは自分の部屋のシャワーで済ませてたらしい。露天風呂は結構良かったのに、なんでだろうね? なんて、とぼけは弘香ちゃん前でしたらどうなることやら……。
「おっと!?」
急に何かに引っ張られたように、僕の身体は右側へ傾く。こけそうになりながらも、なんとか踏ん張り見ると……。
「待っていたわ、旭晴」
「弘香ちゃん! どうしたの?」
放課後に会うなんて珍しい。
てか、今考えていたこと頭の中だけにとどめといてよかったぁ〜。
まるで僕を待っていたと、陰から現れた弘香ちゃん。
「今日、うちで夕食食べていかない?」
「夕食?」
「ええ。お母さんが私を看病してくれたお礼も含めて、旭晴に料理を振る舞いたい、って言っているの」
「それはぜひともご馳走になりたいね」
弘香ちゃんの料理の腕前はアレだけど……弘香ちゃんのお母さんの料理は絶品だ。たまに料理教室の先生もしてるって話だし、弘香ちゃんのお母さんの手料理が食べれるって聞くだけで美味しいって言ってしまうよ。
「じゃあ決まりね。それで、帰りにスーパーで材料の買い出しを頼まれているのよ」
「なるほど。だから僕を呼び止めたと。荷物持ちならもちろんやるよ」
「ありがとう」
◆
電車に乗って地元へ帰ってきて、帰る途中のスーパーに寄る。
「ちなみにメニューは決まっているの?」
僕はカートを押しながら弘香ちゃんの後についていく。
「メニューは分からないけど……買い出しを頼まれたのは、牛もも肉、玉ねぎ、にんじん、ブロッコリー、バターね」
「シチューみたいな材料だけね」
シチュー好きだから嬉しいけど。
野菜コーナーに行き、僕は適当に上から取ろうとしたけど……。
「………」
「………すぅ」
僕は手を引っ込めた。何故なら弘香ちゃんが真剣な目で野菜を見ているから。
数秒して、玉ねぎを両手に持って重さを比べたり、ブロッコリーはすごいガン見していた。
そして決まったのかそれぞれカゴに入れた。
「弘香ちゃん。なんだか選んでカゴに入れてるみたいだけど、コツとかあるの?」
「そうねぇ。玉ねぎは、持ったときに重量感があるもの。ブロッコリーは、全体に緑色が濃く、蕾が密集していて硬く引き締まっているものがいいらしいのよ」
「へぇ〜〜」
僕も料理はできるが、野菜とかのいい見分け方までは変わらない。買い物する時は、いつも上にあるモノから取っていくしね。
「人参は……これね」
野菜を選ぶという姿だけで、巨乳美少女は絵になるよね。もう直ちにこの光景を雑誌の表紙にしていいくらいだよ。
しかし、こんなに色々と知っているのに完成する料理は………詳しくは言えないけど、言葉にする前に意識が飛ぶくらいの出来だから面白いよね。
「何やら不快な視線を感じるのだけれど?」
「なんでもないよー」
僕は早歩きでお菓子コーナーへ向かうのだった。
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