(30) 飲み明かそうぜ

都会の空には星がないと

おまえはポツリそう言って

タバコの煙をため息と一緒に

夜空へ吐き出していた


いかつい体に似合わない

きゅうくつな背広 脱ごうともせずに

丸めた背中をかすめた風が

物干しの先で悲しく鳴いた


飲み明かそうぜ 今夜はとことん

久しぶりにこうして会ったんじゃないか

波の音さえ聞こえないけれど

何もかも忘れ 昔に帰ろう



本当におまえは変らないと

呆れたようにつぶやいて

安心しきった顔をする

おまえの方こそ変りすぎだぜ


ほろ酔い気分で島歌を

口ずさみ互いに手拍子打った

机の上には卒業写真

色褪せた若い俺たちがいる


飲み明かそうぜ 今夜はとことん

何も無いところだと嘆いてばかりで

そんなおまえが飛び出していった

あの星降る島へ思いを馳せて


飲み明かそうぜ 今夜はとことん

久しぶりにこうして会ったんじゃないか


瞳閉じれば果てしない海が

青空背に受け輝いている

なぁたまには島へ帰って来いよ


なぁたまには島へ帰って来いよ


(メモ)

わぎゅうさんが一晩で完成させた伝説の歌です

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