(30) 飲み明かそうぜ
①
都会の空には星がないと
おまえはポツリそう言って
タバコの煙をため息と一緒に
夜空へ吐き出していた
いかつい体に似合わない
きゅうくつな背広 脱ごうともせずに
丸めた背中をかすめた風が
物干しの先で悲しく鳴いた
飲み明かそうぜ 今夜はとことん
久しぶりにこうして会ったんじゃないか
波の音さえ聞こえないけれど
何もかも忘れ 昔に帰ろう
②
本当におまえは変らないと
呆れたようにつぶやいて
安心しきった顔をする
おまえの方こそ変りすぎだぜ
ほろ酔い気分で島歌を
口ずさみ互いに手拍子打った
机の上には卒業写真
色褪せた若い俺たちがいる
飲み明かそうぜ 今夜はとことん
何も無いところだと嘆いてばかりで
そんなおまえが飛び出していった
あの星降る島へ思いを馳せて
飲み明かそうぜ 今夜はとことん
久しぶりにこうして会ったんじゃないか
瞳閉じれば果てしない海が
青空背に受け輝いている
なぁたまには島へ帰って来いよ
なぁたまには島へ帰って来いよ
(メモ)
わぎゅうさんが一晩で完成させた伝説の歌です
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