第6話 夫のいいところは

その頃、夫との性生活は本当に枯れきっていた。


私は目を覚ましたとき一番性欲が高くなっていて、隣で寝ている夫をハグするけど、夫は目を逸らして拒む。

彼の潔癖症は意固地なので、シャワーを浴びた直後でないと抱き合うことはできないらしい。

なんというか、お互いを求めるタイミングがまったくあわない。いつも私がやる気が出ないときばかり、彼から求めてきた。


そんなことが何度も続くと、行為の最中も「早く終わらないかな」と思うばかりになったし、人工的に濡らさないと機能しない自分のカラダがポンコツだと嫌いになった。

普段の彼は優しくて穏やかで愛があるけど、動物のように私に欲求をぶつけている姿は滑稽だった。

付き合い初めは、お互いたくさんキスをして、互いの体を触り合って、きちんと最初から最後まで順序立てて一つ一つの工程を丁寧にこなしていたのに、今は全部をすっ飛ばしていきなり挿入だ。


セックス以外はいい夫だから、それをいちいち取り出して喧嘩をすることも躊躇する。

平日仕事終わりに一緒にスーパーに行ってくれる夫。

私よりも料理をしてくれる夫。

私が仕事から戻ったら部屋一面を綺麗に掃除してくれる夫。


私は夫を手放せそうにはないのだ。

だけど、一生満足できない性生活を送るのか……とブルーな気持ちになる時がある。

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