第4話 上司との出会い
次の日、憂鬱な気持ちで会社に行くと、昨日揉めた上司から一言
「グラビアの件、なしになったから」
とだけ言われた。
同期に聞くと、同じ部署にいるAさんという人が、昨日の夜CCに入れたれたメールを社長に転送し、事情を知った社長が上司を叱責したとのことだった。
ほとんど話したことがないAさん。
一体どんな人なんだろう……なんで助けてくれたんだろう……と、
私はAさんに挨拶に行くことにした。
「お疲れ様です、あっあの」
Aさんはすべてを察したようで
「俺はお前の意見に賛成だったよ」
と、一言だけ言ってくれた。
その日から、Aさんは私にとって神様のような存在になった。
Aさんは私より10歳年上の、33歳の社員だった。
独身だけど、社内でもイケメンとして有名な人だった。
今回のことも、社長に対して、「こうしたこともあるから女性を増やした方がいい」ということを言ってくれたらしい。
***
しかし、その逆恨みをされたのか、直属の上司からの理不尽な叱責が増えた。
机に書類を積み上げられ、「終わるまで帰っちゃいけないよ」と言い、仕上げた書類にミスが見つかると「ザンネーン。最初からやり直し」と指示をして笑っていた。
連日の残業に、睡眠時間も取れず、頭がクラクラした。
***
そんなある日、突然、直属の上司に辞令が下された。
「パワーハラスメント」の懲戒処分だった。
青天の霹靂だった。
もう上司に合わなくてもいいのが嬉しかったが、もしかしたら自分のせいで上司の人生を狂わせてしまったのか、申し訳なさが入り混じった。
社内では、上司の懲戒は口に出してはいけない話題になっていたので、誰にも経緯を聞くことができなかった。私はAさんに連絡をした。
「お久しぶりです。飲みに行きませんか?」
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