まっしろ

君にあげるキムチなんて無い

まっしろ






 「かゆい所は無いですかー?」

 彼女が、僕の髪を洗いながら聞いてきた。

 「無いですよー」

 そう僕は答えた。

 「なら良かったですー」


 同棲を始めて1ヶ月。僕は彼女と初めて一緒にお風呂に入った。ただ、彼女と付き合う前にソープランドへ数回足を運んだことがあるので女性の裸は見慣れてるし、さほどドキドキしない。



 というのは、ただの強がりで。

 ソープランドに数回行ったことがあるのは事実だけど、毎回ドキドキするし女性の裸に目が慣れている人はなかなか居ないだろう。



 「じゃ、次は君の番ね」

 彼女に身体を洗ってもらった僕は彼女にバトンを渡した。

 「はーい」 バトンを受け取った僕はボディソープを手に3プッシュ#分__ブン__#乗せ、優しく泡立てた。


 「じゃあ洗っていきまーす」

 「お願いしまーす」


 彼女の後ろ姿を見ると、あまりの美しさに#見惚__ミト__#れてしまう。洗う為に彼女の身体に触れるのが申し訳なくなる。

 そう思いながら、僕は彼女の#頸__ウナジ__#を洗い始めた。


 くすぐったそうに少し肩を上げて脳天をこっちに寄せてくる彼女に、また少し惚れる。


 「くすぐったい?」

 「い、いや、別に?」

 「嘘つけ」

 「ふふ」


 そんな会話をしているうちに、背中と腕は洗い終わっていた。次は・・・。


 「あ、あのさ・・・」

 「どした?」

 「次、お、おっぱいとか洗うね」

 「ああ、おっぱい?良いよ。どんどん洗っちゃって~」



 彼女は、綺麗で、スタイルが良くて、優しい。しかし、その割に男っぽいところがある。そのギャップに僕は惚れた訳だが、彼女の務める美容院で彼女に初めて髪を切ってもらった日に、寝癖がなかなか直らないという話をした時に「寝癖なんか唾付けとけば一瞬ですよ!」と言われた時は流石にびっくりした。



 彼女の乳房に手が触れる。あれだけ寛大な態度を取っていた割に、いざ触られると彼女はくすぐったそうに少しニヤニヤしている。その顔を鏡越しに見て、僕もニヤニヤしてしまった。


 「お、おっぱいって、こんな柔らかいんだね」

 「うん、柔らかいでしょ」

 「ずっと触ってたいなー」

 「別に良いけど?でも、ほんっとに男子っておっぱい好きだよね。」

 「好きだけど、何か文句でも?」

 「い、いや?別に文句があるわけじゃないけど。みんな好きだよなーって思って」

 「それが男の本能だから」 そう言って僕は、胸を洗う手を止め、いったん彼女の乳首を指先で優しく突っついてみた。


 「ひゃっ」 彼女が甘い声を漏らす。

 「あ、ごめん。つい」

 「いや、いいんだよ。 ふふ、これが本能かー」

 「うん、まあ、そういう事だね」



 「あのさ・・・」

 「ん?」

 「今日セックスしようよ」

 「え?」

 「なに?もしかして、あれだけ私のおっぱい触っておいて私には何もさせてくれないつもり?」

 「い、いや、そういう事じゃなくて。いきなり過ぎてビックリしちゃっただけ。セックスしたいです」

 「ふーん。ならいいんだけど」 そう言いつつ、彼女は意地悪そうに微笑んでいた。






               〈おわり〉

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