第5話 救出作戦
全速力で走る。こんなに早く走ったのはいつぶりだろうか。
場所は先程本部から聞いた。新遊神社だそうだ。
新遊神社は学校からおよそ南に10kmほど離れた場所に位置する。山奥にあるため人の出入りはほとんどないため誘拐するためには最適の場所だったのだろう。
ただこれが罠ということは分かっている。ただ殺し屋はたくさんの奥の手を持っているものだ。
10分程で新遊神社に着いたが待っていたのは遥の予想とは全く違う1人だった。
「お前たった1人で勝てると思っているのか?」
こう言ったものの複数よりも1人で来る方が何倍も怖い。
それは相手もプロということを意味する。
1つ技を仕掛けて様子を見るとする。
「さすがに。ひるまないか」
今仕掛けた技は目を合わせて死期を悟らせる物だ。ただ殺し屋は普段から死と隣り合わせだから効かないとは思っていた。
相手が殴りかかってきた。
「早い」
急いでガードしたものの腕が腫れ上がっている。
「全くなんて威力だ」
殴り合いは分が悪い。そう考えたためいつも持ち歩いてるハンドガンを遠くから放つ。
「ハンドガンなんか当たるわけないだろ」
そう相手は言ったが俺は銃に関しては自分でも結構トップクラスの腕を持っていると自負している。
グサッ。腹の辺りに銃弾が命中した。
「何故だ。俺は全て避けた筈だが」
「1発うったあとすぐにもう1発撃って1発相手からは視認出来ない撃ち方をしたのさ」
「だがなハンドガン1発ごときじゃ俺は倒せねぇぞ」
やはり仕留めきれない、だが確かにダメージを受けている。何か1つ技を叩き込めば間違いなく倒せる。だがその1つを失敗すると、相手の守備意識が高まり仕留めるのは厳しい。さらには返り討ちにされる可能性も出てくる。
「俺は迷っている。この技でいいのか。」
これまで迷ったことがなかった。
迷う必要がなかったのだ。しかし今回は違う。彼女の命がかかっている。これだけでここまで変わるとは思わなかった。それだけ大事なものが増えたということだ。
(あ、これだ!この技だ!)
俺はある1つの技を思い出した。
この技にはタイミングがある。相手が殴りかかってきた瞬間だ。
相手が殴りかかってくる。
「今だ!」
吹っ飛んだのは相手だ。この技は至ってシンプル「カウンター」相手の攻撃を約1.5倍の威力で返す。相手が強ければ強いほど有効な技だ。
「完全に気絶している」
ハンドガンでとどめを刺す。
そして俺は気づいた。こいつは人間じゃないと。
神社の中に入ると
美奈が縛られていた。俺はナイフで紐を外す。
そして一言こう言い放った。
「今までありがとう。それと迷惑かけてごめん。」
そう言うとすぐにその場を去った。俺を軽蔑した目で見る美奈を見たくなかった。好きな人とは好きなまま別れるのが1番だと考えた。
美奈に出会って、いくつもの感情を手に入れた。好き、怒り、後悔、楽しいなど数え切れない。
「本当にありがとう美奈」
最後に1人でそう言った。目には涙が溢れていた
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