第7話 協力者
7月に入るとクラスで体育祭の話で盛り上がっていた
クラスのみんなは中学生になってからの初めての体育祭のためみんな楽しみにしているのだろう。しかし、俺は憂鬱だった。なぜなら今回の体育祭で死人が2人出るからだ。1人目は若宮 玲於、2人目は植田 瑠璃である。2人とも団対抗リレーの時だ。まだ時間はあるためそんなに急ぐ必要はないためゆっくりと考えたい。次の日のHRで出場競技に誰が出るかを決めることになった。結果的に若宮 玲於と植田瑠璃は団対抗リレーに出ることになった。これは決定事項なのでどうしようもない。俺は原因を考えることにした。犯人がいることを考えると、前回と同じように毒を盛る方法もあるが1回対処されているため同じ方法では来ないだろう。となると....
『何も思いつかない』
そもそも前回トリカブトが出てきたこと自体がたまたまなのだ。
次の日から体育祭の練習が始まった。これが大きなヒントになればいいのだがそう上手くは行かない。
体育祭の練習が始まって3日特におかしなところはない。
俺が出る競技は100m走と玉入れだ。100m走は始めの数列しか走らないためヒントが少ない。よって俺は団対抗リレーを見ることにした。団対抗リレーでは1年生、2年生、3年生の全学年が出る。これは全て走るためヒントが出やすいだろう。観察をしたがヒントはわからない。
しかし仮説をたてねば話は進まない。無理に仮説を立ててみることにした。時間が経つごとに体に影響を及ぼす何かが使われているはずだ。しかし予想がつかないので今回は防げない気がするため。あるクラスメイトに協力をお願いするしかない。
石野 巳之助『それで、僕に頼みたいことは何かね?クズよ』
あさひ『クズ?』
こいつ石野巳之助は頭はとても良いが人を見下しがちである、いわゆる嫌われ者だ。相談相手にこれ以上の人材はいない。ただ相談相手になってくれるかが問題だ。
あさひ『実は一つ困ってることがあってな頭のいい石野君に助けて欲しいんだ』
石野巳之助『見返りはなんだね?』
見返りは考えてなかった。どうしようと考えていたがこれしか思いつかなかった。
あさひ『友達になろう』
失敗した気がする。しかし、こいつも友達がいないから少しでも欲しいという気持ちがあれば受け入れてくれる気がする。むしろ巳之助の言う他の見返りが思いつかない。これで上手くいくかどうか...
巳之助『友達?そんなもんいらねぇな』
やはりダメか。
巳之助『でも子分になるなら考えてやる』
あさひ『子分?』
巳之助『そうだ。子分だよ。子分の頼みを聞くのがいい上司だからな。ただ一つだけだけだ。』
あさひ『助かる。早速だが、体育祭の走ってる途中で2人が死ぬとしたらどういう方法でされてると思うか?今クイズやってるけど分からなくて巳之助の頭を借りたい』
巳之助『そうだなー。困ったら図書室を調べてみるといいだろう』
あさひ『図書室?わかった。ありがとう』
なぜ図書室なのかはわからないが今ある必要な情報だ。
図書室に行き、とりあえず色んな本を探し、体育祭の本を見つけたので読んでみることにした。この作者は
泉ろしという名前だった調べてみると3年前に出た本だった。読んでみると小説であった。内容はこうだ。ある1人の高校生が体育祭に罠をしかけていくという話だ。この話が今回の事件に関係があるというのか、もしあるのだとすればこの本は犯人が書いた可能性が高い。この本は犯人の予告状なのかもしれない。もしくは挑戦状と捉えてもいいだろう。しかしこの本はなぜ巳之助は知っていたのか巳之助に確認を取ってみることにした。
あさひ『なあ、巳之助。なぜこの本のことを知っていたのか。あと俺が何をしているのか知っているのか?』
巳之助『まず俺はこの図書室の本を全て読んでいる。そして前回の授業参観に続き今回の体育祭、詳しいことは知らないが何かおかしなことが起こっている気がしてな、少し観察してたんだ。授業参観の時の花飾りで1人トリカブトを付けてただろ。お前が対処しなきゃ俺がするところだった』
あさひ『知っていたのか?』
巳之助『当たり前だろ。あれくらいちょっと見ればわかるだろ。あとお前いや、これはさすがに勘違いか』
巳之助の頭がいいことは知っていたがここまで鋭いとは思わなかった。末恐ろしいことだ。まさかタイムリープしてきたことまでバレてるのか。さすがにそこまではないだろう。
あさひ『考えすぎか…』
巳之助『ところでお前のしていることに協力させろ。俺も犯人が気になるからな』
こいつこれが事件性であり、犯人が存在することまで見抜いているのか。もしこいつが犯人でなければ協力してもらうと難易度が下がるだろう。しかしもし犯人の場合は…
詰みだ
しかし今回の体育祭の事件、俺では歯が立たない。仕方ないので協力してもらうことにする。
あさひ『じゃあ頼む』
巳之助『じゃあ状況を説明してもらおうか』
俺は状況を説明した。もちろんタイムリープのことも。
巳之助『なるほど。状況は理解した』
あさひ『疑わないのか?タイムリープについて』
巳之助『当たり前だろ。なんならタイムリーパーか疑ってたぐらいだ。タイムリープしてなかったら逆に驚くぐらいだ。』
あさひ『やはりバレていたのか。想像以上にえげつないな』
巳之助『普通だろ』
あさひ『まぁ明日はよろしく』
巳之助『よろしく』
その日握手をして次の日の体育祭のため早く寝ることにした
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