第6話 授業参観
5月21日の授業参観の日に俺はいつもより早く登校した。朝から確かめたいことがあったのだ。まず保護者が入る玄関に向かったが特におかしな点はない。そもそも犠牲者が1人という点がよく分からない。7時15分頃ある生徒が登校してきた。
佳純 楼『おはようございます。早いんですね』
あさひ『おはよう。ちょっと気になることがあってな』
佳純 楼とはクラスの委員長で真面目な性格だ。全く早いのはどっちだと思いながら頭の中で情報を整理していく。
『まず教室の可能性は薄い、トイレは一見ありそうだが、ありえない。物理的にはありえるが心理的側面から否定できるということだ。1回の授業参観で1人の親がトイレに行くこれだけでは何も不自然なことではないがもし女子トイレに男子が入っていたらどう思うだろうか。高山美波の母は性別は正真正銘の女性であるが見た目が男寄りなのだ。しかも生徒の母ということで問題事になる可能性がある行動は避けたいはずだからだ。さらに静流が何かもおかしなところはないと言っていたのでトイレである可能性は低い。これは100%ではないが他に怪しいところといえば、あと一つしかないだろう違和感なく1人だけに被害をあたえる方法は〇〇〇〇〇〇〇〇〇ことだ。これを止めるために俺は授業に遅れて入ることに決めた。1時間目の始まる30分前辺りから保護者が来ていた。俺は靴箱で親が入っている様子を観察していた。ある場所に注目しながらその場所は胸の位置にある花だ。うちの学校は新入生の胸に花をつけるように授業参観で来た親にも花を贈呈するようにしている。その中におそらくトリカブトが混じっているのではと考えた。誰が混ぜたかは分からないがその可能性は十分に考えられる。トリカブトとはキンポウゲ科トリカブト属の総称である。有毒植物の一種として知られる。毒症状として口唇や舌のしびれに始まり,次第に手足のしびれ,嘔吐,腹痛,下痢,不整脈,血圧低下などをおこし,けいれん,呼吸不全(呼吸中枢麻痺)に至って死亡することもある。すると高山美波の母が入ってきた胸の位置を見ると間違いないだろう『トリカブト』である。俺は高山美波の母に駆け寄り
あさひ『こんにちは。その胸の花綺麗ですね』
高山母『こんな花が貰えて嬉しいわ』
あさひ『失礼ですが、その花の名前はトリカブトと言いまして、いわゆる毒花というやつです。今回たまたま混じっていたみたいで僕が見張りをしていたんです』
高山母『それは、本当なのかな』
あさひ『間違いない。事実です』
高山母『そうなのね。外しておくわ』
あさひ『そうしていただけると助かります』
これで今回の授業参観のトラブルは止めることが出来たはずだ。しかし犯人の情報は何も得られなかった。
この後授業参観は無事に終わった。果たして誰の仕業なのか全く分からずじまいだったが犠牲者を出さずに済んでよかったというものだ。しかしこれはまだ序の序であることを考えると憂鬱になった
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