第2話
「おーっす、京。なんだよ、今日は遅刻してきやがって。冴えねぇツラしてんなぁ。そんなんだから彼女もできねぇんだぞ?」
昼休みになったとたん、おせっかいを入れてくるこの男は俺の幼なじみで悪友の、
首まで伸ばした髪は明るめの茶色で真ん中から分けており、時おり見える耳にはピアスが並んでいる。
顔もシャープで、男の俺から見てもかっこよく、実際に女にモテまくっている。
イケメンはマジで爆死しろ……と何度思ったことか……。
鳴門と俺は幼稚園の頃からずっと同じ学校で、昔からずっと一緒に遊んできた仲だ。
基本的に、優しくてすごく良い奴なんだけど、女グセだけは褒められたものではない。
今まで何人と付き合ってきたんだ? と聞いたら、「10人から先は覚えていない」とのこと。簡単な算数もできないのかよ。
「ってかよ〜、いつになったら綾ちゃんのコト、紹介してくれるんだよ〜っ」
「お前みたいな女タラシに紹介できるわけないだろ? それに今付き合ってる彼女がいるじゃないか?」
「あぁ、昨日、別れたんだよ。ほら、慰めてくれてもいいし、綾ちゃんを紹介してくれても……」
「断る」
「まったく、硬いんだから。代わりにほら、気難しいお前でも付き合える彼女ができるまで、いっぱい紹介してやるって言ってるのに」
やれやれといった具合に首を振る鳴門。
「全く人の話をきいちゃいないな。それにお前からの紹介だと、○兄弟になる可能性が高いじゃないか。全力で断らせていただくよ」
目の前の男と○兄弟になった日には死ぬまでそのことをイジリ倒されそうだ。
「まっ、その話はいいや。話は変わるんだけどよ、昨日、すっげぇ可愛い娘を見かけたんだよ」
鳴門は目を輝かせて話を続ける。こうなってしまうと彼を止めることはできない。
「顔はちっさくて整ってるし、スタイル抜群でさ、胸もばいーんってでかいんだよ。もちろん尻だってでかいんだけどよ、腰がまたほっそいんよ!」
玲二の話はまだまだ続く。俺はお経を聞いてるつもりでひたすらに聞き流し続けていく。
「俺の見立てでは、身長155センチ、体重53キロくらい、バストは105センチのJカップ、ウエスト59センチ、ヒップがこれまた100センチオーバーの108センチとみた!」
なぜそこまで正確に数字を捉えられるのか、いつも不思議でしかたないのだが、鳴門の見立てはかなり正確だったりする。
「ところで鳴門、お前、さっき、俺の妹を紹介してくれって頼んでたよな?」
俺の妹を紹介してくれと言っておきながら、よくも他の女の話をここまでイキイキと話すんだ。
ホントにこいつの女グセは悪すぎるんだけど、ここまで開き直っていて清々しいと呆れるのをとおりこして、尊敬してしまう。
「まぁいいじゃねぇか、そんでさ、金髪が腰の辺りまで伸びててよ、歩いてるだけで髪がキラキラって光るんだぜ! ホントに可愛い外国人でよ、もう、すっげぇインパクトなの」
いったい、いつになったら話が終わるんだ?って思ってたら、昼休みの終わるチャイムが鳴った。
ナイスタイミングだ、鳴門の長い話もここまでだな。
すぐに担任の
「は〜い、みんな元気ぃ〜?」
耳に手を当ててクラスの反応を待つ
「ちょっとちょっと、なんで反応うすいのよ〜っ!」
腕を振って拗ねる姿はまるで子供のようだ。美奈ちゃんは背が低く、ショートカットの前髪がパッツンと切り揃えられた可愛い髪型に顔つきまで童顔のせいで、誰からも大人扱いされていない。
もちろん声も少女のようなハイトーンなのだ。
先日も夜に警察から補導されそうになってしまった所を塾帰りのクラスメイトに助けられるという伝説まで作っししまったのだ。
教室はザワザワとしたまま午後の授業に突入していった。
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