第38話 確認
「ハァ……」
俺は自室のカーテンの隙間から外を見て深いため息をつく。
家の外にはデカいテレビカメラやマイクを持ったマスコミと思われる人が複数人いる。
しかもそんな状況が人狼を倒してから数日続いているのだ。
俺だけならまだしも家族にまで迷惑をかけているのはかなり心苦しい。
ただ父さんと母さん、それに楓も世界に配信されていた攻略映像を見ていたようで、「生きて帰ってきただけで十分、お前(兄さん)は悪くないから気にするな」と言ってくれている。
因みに人狼を倒してダンジョン攻略完了、というわけではなかった。
人狼を倒した直後にダンジョンの入り口のような空間の歪みが二つ現われ、更にはこんなテキストが表示されたのだ。
★
右は更にダンジョンを進むゲート
左はダンジョンを出るゲート
★
俺はそれを見て迷うことなく動けない赤崎さん・槻岡さん・水野の三人を抱え、風吹君と一緒に左のゲートを選びダンジョンから出た。
その後は何故かダンジョンの外に待機していたスーツ姿の人達に言われるがまま病院へ行き色々な検査を受けた後俺は自宅に帰ってきた。
それから連日この状況が続いているのだ。
正直嫌になる。
俺はそう思いながらベッドに横なる。
ただ人狼……正確にはマルコットを倒して得られたものも大きい。
そしてあの人狼の名前が何故わかったのかについては、人狼を倒した直後に表示されたもう一つのウィンドウにこう記されていたからだ。
★
ネームドモンスター、氷結の銀狼[氷魔士 マルコット]を討伐、討伐報酬と世界で初めてネームドモンスターを討伐した報酬を付与いたします
久遠 宗太の功績が非常に大きく、ソロでの攻略と同じ報酬を付与いたします
・称号【ネームドキラー】を付与……成功
・称号【ジャイアントキリング】を付与……成功
・[氷魔法]と[氷結武装]どちらか適性のある方を付与…………双方に適性がある為どちらも付与……成功
★
てな感じでアイツがマルコットって名前だとわかったわけだ。
にしてもネームドって特殊個体って事だろ?
そんなヤバい奴とダンジョンが変わって早々強制的に戦わされるって終わってるだろ!
まぁ全員なんとか無事で更には報酬もかなりいいからこれ以上は言わないけどな。
レベルも上がってるしな。
俺はそう思いながらステータス画面を開く。
★
名前 久遠 宗太
職業 魔法戦士
レベル 14
HP 57/57
MP 64/64
攻撃力 74
防御力 56
敏捷性 75
魔力 56
ステータスポイント 15
▼称号
【最強へと至る資格】【先駆者】【踏破者】New【ネームドキラー】
New【ジャイアントキリング】
▼スキル
[剣術 LV2][短剣術 LV1][盾術 LV2][格闘術 LV2]
[投擲術 LV1][火魔法 LV2][水魔法 LV1][土魔法 LV1]
[風魔法 LV2]New[氷魔法 LV1][身体強化 LV2]
New[氷結武装 LV1][斬撃耐性 LV3][刺突耐性 LV3]
[打撃耐性 LV3][痛覚耐性 LV3][精神耐性 LV3][衝撃耐性 LV1]
★
色々あって新たに獲得した称号とスキルの効果は確認できてなかったんだよな。
[氷魔法]は他の魔法と同じだろうけど他は……
俺はそう思いながら新たに増えた称号とスキルを軽くタッチしていく。
★
【ネームドキラー】
ネームドモンスターを倒したものに与えれる称号
この称号を持つ者はネームドモンスターを倒した際にネームドモンスターが持っているスキルの中から最も適性のあるスキル一つを獲得することが出来る
★
★
【ジャイアントキリング】
ネームドモンスターを世界で初めてソロで討伐した者に与えられた称号
この称号を持つ者は自身よりも格上の存在を相手に勝利したとき、追加で報酬を得られる
★
★
[氷結武装 LV1]
氷を武器や防具として扱うことが出来るようになる。
その際氷による自身への間接的なダメージを無くす。
★
凄いな……
正直期待はしてたが、まさかここまでだとは思ってなかった。
【ネームドキラー】は単純にネームドモンスターを倒せば倒すほどスキルが増えるって事だから、どう考えてもヤバい。
ただ称号の説明欄にネームドモンスターを倒したものに与えられる称号と記載されている事から、この称号は誰でも入手できるという事だろう。
しかしながらそれはネームドモンスターを倒せればの話だ。
そして次の【ジャイアントキリング】。
これは今までの称号とは少し毛色が違う気がする。
何せ具体的に何が得られるか記載されていないのだ。
追加で報酬を得られるという記載はあるが、それがどういったものなのか全くわからない。
得られた報酬と同じものが単純にもう一度貰えるのか?
又は全く違う報酬が別で貰えるのか?
はたまた貰える報酬に報酬が加算され更に良い報酬として貰えるのか?
そう言った記載が一切ないのだ。
仮にどれだとしても悪いものではないから問題は無いのだがな。
で、最後は[氷結武装]何だが……
これは正直説明を見ても[氷魔法]との違いがイマイチわからない。
何せ[氷魔法]で剣や槍、盾を作れば武具として使う事自体は出来なくは無いからだ。
「とりあえず、試してみるか」
俺はそう呟き、右手を軽く掲げナイフをイメージしながら[氷結武装]の発動を念じる。
すると右手に氷のナイフが現れたのだが、驚くことに全く冷たくない。
そういう事か!!
自身への氷による間接ダメージ……つまりは凍傷やしもやけにならないという事か!!
いくら[氷魔法]で武器を作ろうと、その点に関してはどうすることもできないからな。
防具……つまりは鎧等として氷を体に纏う事も出来るという事だろう?
氷の騎士……滅茶苦茶ロマンがあるじゃんか!!
「そ、宗太!! お客さんよ!!」
そんな事を思っていると母さんのそんな声が聞こえてきた。
一体誰だ?
どこかが取材に来たとかなら母さんは追い返してるしな。
「はい! 今行く!」
俺はベッドの上からそう叫び、起き上がる。
なんか外がさっきまでより静かになった気がするな。
と、そんな事を思いながら俺は部屋を出て玄関に向かう。
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