観察対象
第10話 観察報告
パソコンの明かりだけが灯る暗い部屋。そこに一人の男がパソコンで美幸についての資料を作っていると、パソコンの隣に置いていた携帯から着信音が鳴り響いた。
男は資料作業の手を止め、携帯を手に取り着信主の名前を見る。着信主は森元という人物からであった。
「・・・はい。」
『観察対象の現状を報告しろ。』
「対象に大きな変化はありません。ただ・・・。」
パソコン内で別のファイルを開き、そこで出てきたのは黒宮 彰人の情報がまとめられていた資料だった。
「彼女に洗脳された可能性がある人物が一人。名前は黒宮 彰人。両親は既に他界、現在は親の遺産を資金源に一人暮らし。精神病を抱えており、親からの愛情に飢えており、亡くなった両親の幻覚を見る症状がある。決して他人に本心は晒さず、他人と距離を取るようになった・・・そう診断書には書かれてありますね。」
『その彼が、対象に洗脳されている・・・愛情に飢えた少年は対象にとって極上の品だな。』
「彼が本格的に対象と重ね合えば、異形化するのは時間の問題かと・・・どうします?彼、黒宮 彰人を保護すべきですか?」
『それでは反って対象を刺激する可能性がある。対象の観察の他に、黒宮 彰人の監視も付け加える。もし黒宮 彰人の身に危険が迫っていると感じた時、その時は彼と接触し、保護しろ。』
「分かりました。それでは引き続き、黒宮 彰人。そして、神薙 美幸の監視を続けます。」
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