第25話 クラス対抗戦②
クラス対抗戦の会場に到着する。
何度来ても、ここでこれから熾烈な戦いが待っているのだと思うと、その重圧に気圧されてしまいそうになってしまう。
それでも、今年こそはアルスも前線に立ちクラスの皆の初の勝利に貢献するのだ。
そう気持ちを引き締めながら、既に皆集まっているクラスの輪の中へとアルスも合流する。
「よし、みんな揃ったね。――今日がこの学校生活で、最後のクラス対抗戦だ。ならば、僕達の持てる限りの力を尽くし、今年こそは我々が勝利し有終の美を飾ろうではないか!」
「「うぉー!!」」
スヴェン王子の一言に、クラス全員で声を上げる。
こうして、いよいよアルス達の最後のクラス対抗戦が始まるのであった。
◇
アルスは事前に決められた作成のとおり、所定の位置に移動する。
任されたのは最終防衛ライン。
スヴェン王子やクレア、それからマーレーらと共に、クラスの最後の要を務めることとなった。
毎年、相手のクラスはマーク達上位者が開始早々に攻め込んでくることから、アルス達のクラスの上位者は、旗の守護役に回るというのが決まりになっている。
では何故、今回はアルスもそんな重要なポジションに混ざっているのかというと、それは夜な夜なアスタロトさんに魔法特訓をつけて貰っている話をクラスの皆にしたからだ。
みんなもう、言うまでもんくアスタロトさんの実力は承知しているため、それならばとスヴェン王子の一言で旗の守護役に任命されたのである。
それはアルスにとっても、やっぱり嬉しいことだった。
だからこそ、スヴェン王子の期待を裏切らないためにも頑張るしかない。
言わば、攻めのクラスと守りのクラス。
そんな、はっきりと攻守が別れた今回のクラス対抗戦。
ただ、今回はこれまでと大きく違う点がある事を忘れてはいけない。
それは、使い魔の使用だ。
例えば、スヴェン王子達ならば超上位魔物であるレッドドラゴン。
それにクレアのペガサスに、マーレーのカーバンクルだっている。
そんな使い魔のレベルで言えば、隣のクラスを圧倒していると言えるだろう。
そしてアルスには最強の使い魔だっているのだが、今回のこの対抗戦ではアスタロトさんの力は頼らない事にしている。
何故ならこの対抗戦、仮にアスタロトさんが介入した時点で、それはもうアルス達のクラスの勝ちが約束されたようなものだからだ。
でもそれでは駄目なのだ。今回のこの対抗戦は、自分達の力だけで勝利しなければ意味がないと思っている。
そのことをアスタロトさんに相談したところ、すんなりと快諾してくれた。
これまでの特訓の成果を試すのに、丁度良い機会になるだろうと送り出してくれたのであった。
だからこそ、送り出してくれたアスタロトさんの前で恥をかかない為にも、今回はアルスとしても絶対に負けるわけにはいかなかった。
ちなみにアスタロトさんはというと、一応うちのクラスメイトでもあるため、会場内の遠く離れた入り口付近でこちらを見守ってくれている。
「アルスくん、本当にここの配置で平気?」
「うん、大丈夫だよ。だから勝とう、クレア!」
「あ、当たり前じゃない! 私に全部任せなさい! あんな使い魔なんていなくたって、私がいればそれでいいんだからっ!!」
クレアが気を使って、声をかけてくれる。
このクラスにはスヴェン王子だけではない、こんなにも頼もしいクレアだっているのだ。
そんなクレアはというと、気合が入ってきたのかフフフと変な笑みを浮かべながら、全身から物凄い魔力が溢れ出していた。
これはちょっとヤバい感じがするけれど、そっとしておこう……。
―――アスタロトさん、見ていて下さいね! 僕達、絶対勝ちますから!!
こうしてついに、クラス対抗戦の始まりの合図が鳴り響くのであった――。
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