第8話

 もう、何も感じなかった。

 わたしを保護しようとするマネージャーを遮って、なんか、よく分からない人たちが、寄ってきて。

 たぶん、彼だったものを運び去っていった。

 わたしは、マネージャーに保護されて。


 そのあとしばらくの記憶がない。


 起きたら。


 彼の部屋で。


 彼の。


 彼の部屋。


 彼のベッド。彼の匂いはしない。

 彼の部屋。彼はいない。

 彼の部屋のスペアカード。握りしめてた。


「ばかだな、わたし」


 ここに、帰ってきたのか。

 わたし、ひとりで。

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