「ゆうちん。俺のことどう思ってるんですか?」
「ゆうちん。俺のことどう思ってるんですか?」
ある日のお昼休み。ホットコーヒーのブラックを飲んでいたオレは不意にそう声をかけられた。声の主を見ると吉谷育真が。3ヶ月間の出向後何故かこちらの会社に移籍となり、その後支社や子会社との取引をする営業二部の営業部長になっている。
「久々に聞いたな笑 あの時は師匠呼びもしていたっけ」
「懐かしいですね笑 なんだかんだ3ヶ月は言っていましたもんね」
初めて会ってから約半年。いつの間にか季節は冬となっていた。今日は特に寒く、昼間だというのに外はまだ雪が降っている。福岡は雪が降りはするものの滅多に積もらない。しかし今日はどうだろうか。このまま降り続ければ電車も止まるんじゃなかろうか。窓の外を見ながらそんなことを思案する。
「俺たちが会ってもう1年も近いですが、気持ちに変わりはないですか?」
「無いな。全く。それよりハンターとはどうなってるんだ?アイツの口からお前のこと出てこねーから気になってよ」
「気にしてくれてたんですか?♡」
「お前を、じゃなくてアイツを、だ」
「ま、まさかあのハンターさんを⁈」
「なぜそうなる⁈」
全く…会えばこういう頭の痛くなる会話をするのは会った時から変わらないな。ふふっと思い出し笑いをしたら吉谷に怪訝な顔をされた。
「あのハンターを気にしてんのは私の部下だからだ。小生意気なところもあり多少イラつくとこはあるが、根は真面目で失敗も自分で取り戻そうとする、そんな面もある大切な部下だ。その部下がお前みたいなヤツに振り回されているとしたら気が気ではないからな」
「…やっぱ好きですよね?恋愛的に」
「…お前人の話聞いてんのか?」
「聞いてますよ。目を背けたくなるようなセリフを」
「…は???」
一瞬時が止まったように思えた。
そして思い出す、先ほどのあのセリフ。
「☆♪→¥$€%°#○*・+×÷<=>!!!!!」
「あ、思い出しました?勘弁してくださいよ急に惚気だすのは笑」
「ち、違う、オレが好きなのは///」
「ゆうちん、慌てすぎて一人称「オレ」になってますよ笑」
「うるちぇえ!!!」
詰んだ。噛んだ。恥ずかしすぎる。
吉谷が笑う中休憩終わりのチャイムがなり、これ幸いと逃げ出した。
「せめて貴方の口から聞きたかった。既に大切な方がいるんだと。」
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