第13話 てっぺん
「桜庭 百道……」
ひとりの生徒がその名前に震える。
「知っているのか?」
リーダー格の少年が尋ねる。
「コイツ、ボクシング部だ。
中学生の頃、何度も優勝しているって噂の」
「知ってるか?ペンは剣よりも強い。
そのペンは権力には負けるんだ」
リーダー格の少年がケラケラ笑う。
「お前、杉村太陽だよな?」
別の少年が現れる。
「水木
生徒たちは次々と震えていく。
「クソが……帰るぞ。胸糞悪い」
少年たちはそう言い残すとその場を去っていった。
「お前の鶴の一声はあーいうのには効果抜群だな!」
百道がケラケラ笑う。
「俺の力じゃねぇよ」
滋がそういってため息を付いた。
「はいはい」
百道が小さく笑う。
「影無!お前は状況をわかって出ていったのか?」
「え?なんで名前を知っているの?」
太郎は驚く。
「えーーーー!!クラスメイトだろ?」
百道が逆に驚く。
「まぁ、お前目立たないしな。
金髪で個性出してもダメなんじゃないか?」
「マジかー」
「俺は水木 滋だ。
この金髪が――」
「桜庭 百道だ!
俺が目指すのはボクシングのテッペンだ!」
百道がそういって指を立てて腕を上げた。
「ってか大丈夫か?緑川だっけか?
担任に相談したほうがいいんじゃないか?」
滋がそういうと翠は首を横に振った。
「意味ないよ、杉村の親は議員だし。
担任は力になってくれないよ」
「先生こっちこっち!」
そう言って別の少女たちが現れる。
「水本さん、上沼さん。足速いね……
で、君たちふたりがいじめっ子かい?」
十三がそういって百道と滋の方を見た。
「ってあれー、もうおらへんやん」
関西弁の少女がため息をつく。
「ありゃー現行犯なら退学とかできると思ったのにー」
ギャルっぽい女子がそういう。
「アイツらもうとっくに帰ったぞ?」
「……そっか」
十三は小さく笑う。
太郎はこの女子たちのこと見覚えがある気がしてきた。
「えっとクラスメイトの水本さんと上沼さん?」
「うん、私が水本 美樹でーす!」
「ウチが上沼
「あ、うん」
「アンタのガッツは校庭から丸見えやったで!かっこよかった!」
「だが無謀だ。俺や百道ならあの人数相手にできるが。
お前では無理だろう?」
滋はそういうと十三がいう。
「そうだね。
危ないから先生を呼ぼうね」
「それをしたウチら天才やな!」
海夜がケラケラ笑う。
「天才天才。でももう帰ろうね」
「はーい」
海夜は元気よく返事をした。
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