第9話 たまごさんど

色んな事があった1日。

でも太郎はまだ終わっていない。


バイトがある。


太郎は学生服のままバイトに向かった。


「お疲れさまです」


太郎は軽く挨拶をした。


「太郎くんおはようっす」


三太郎が優しく微笑む。


「おはよう、太郎くん。

 準備ができたらホールに来てね。

 今日は卵焼き作ろう」


萌の提案に太郎は戸惑う。


「え?調理……ですか?」


「そうだよ。調理も覚えよう!」


萌は優しくそういった。


そうして三太郎による卵焼きレッスンがはじまった。

スパルダではなく。

材料や機材などは既にあるので。

太郎はあっという間に卵焼きをマスターした。

自由もすぐに覚えた。


「さて、ふたりのお客さん第一号は……」


そういって萌さんがふたりを席に案内した。


「魚々子ちゃん!宍道くん!

 そして麻琴ちゃんに華織ちゃん!です!」


「太郎くんの初めて貰っちゃう」


魚々子がそういうと宍道がわらう。


「言い方言い方」


「太郎くんの腕は私の舌を唸らせれるかな?」


華織がそういってニコリと笑う。


「その笑顔怖いんだわさ」


麻琴がそういってケラケラ笑う。


「じゃ、冷めないうちにどうぞ!」


萌はそういってたまごサンドを人数分出した。


「お?これは2人の初の共同作業なんだな」


宍道がふたりと茶化す。


「違うよ」


自由が即答する。


「いや、そんなマジになるなよ」


宍道がそういうと自由が少し機嫌が悪そうな顔をして言った。


「5度目だもん」


自由がそういって。


「お前らいつからそんな関係なんだ?」


宍道はそういうと自由が太郎を見て言う。


「ねー!」


「『ねー』じゃないわよ」


「太郎くん困っているね」


華織がそういうと魚々子が言った。


「でもふたりは出会ってまだそんなに経ってないよね?」


「まぁ、若いから……ね?」


自由が意味ありげにいった。


「……あの共同作業って卵を焼いただけだよね?」


「そうだよー」


太郎の言葉に自由が頷きながら笑った。


「それを思うと結婚式で言う『はじめての共同作業』って謎だね」


魚々子がそういってたまごサンドを頬張る。

それを見た他のメンバーも頬張る。


「うまい!」


4人はそれぞれ美味しいといいながらたまごサンドを食べ終えた・


そして華織が神妙な顔で言った。


「太郎くん、先生って呼んでもい?」


「え?」


それぞれが驚く。


「私に美味しいパンの作り方教えてー」


「じゃ、華織ちゃんもウチでバイトする?」


萌がそういうと華織が言った。


「うん!あとでお父さんに報告してみる!」


こうして太郎の1日が過ぎようとしていた。

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