第7話 そばかす

――昼休み


大輔はひとり校庭のベンチに座り。

桜にまみれながらパンを噛じる。


「そのパンなにパン?」


「おにぎりぱん」


太郎は突然投げかけられた少女の質問に答えてしまった。


「え?それは美味しいの?」


メガネにそばかす。

少女は興味津々に聞いてくる。


「初めて買うけど。

 美味しくない」


太郎はなんとなく彼女とは話せる気がした。


「だよね、昆布はみ出てるし」


「パンの中におにぎりがあって。

 その中に昆布だね」


「へぇー」


少女はそういって自分もパンを噛じる。


「フランスパン?」


「うん、メガネと少女といえばフランスパン」


「そうなの?」


「覚えて置いて損はないわよ」


「うん」


そして暫く間が空いた。


「えっとはじめまして。

 影無太郎です」


「はじめましてじゃないけど。

 私は、川本かわもと麻琴まこと

 オカルト大好き少女よ」


「はじめましてじゃなかったのか……」


「いつも貴方の斜め後ろにいるわよ」


「しかもクラス一緒だったのか」


「そうそう、よろしくね!」


「うん、よろしく」


「私はちょっと貴方にお願いがあるんだわさ」


麻琴はそういってメガネを光らせる。


「お願い?」


「オカルト部に入らない?」


「え?」


「影無くんクラブに入ってないでしょ?」


「うん」


「ウチの学校はクラブに入るのは必須なの知ってる?」


「え?」


太郎は初耳だった。


「知らなかったの?」


「うん」


「5月までにはクラブに入らないと単位が貰えなかったりもするから。

 入ったほうがいいわよ」


「うん」


「それでオカルト部にどう?」


「うん、入る」


「え?本当に?」


「うん」


太郎は、なんとなく入ってもいいと思った。

オカルト自体には興味はない。

ただ太郎は内気な性格をなおしたかった。

断ることは簡単だけど。

進むことは難しい。

それを知っているから……

麻琴とはいい友人になれそうだと思った。

そしてなによりお金がかからなそうだ。


「よし!ならパンを食べたら部室に行こう!」


「うん」


太郎は少し早めにおにぎりぱんを食べた。


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