短編:サロン

Take_Mikuru

サロン

〇白い雑居ビル・外・夕方


瀬戸内マリナ(20)が白いT-シャツにデニムショートパンツを履いて白い雑居ビル前に歩いてくる。堀田彰人(22)がマリナの前に現れる。


彰人「マリナちゃん?」


マリナは驚いた様子で立ち止まる。


彰人「俺だよ、俺、彰人だよ」


マリナ「・・・」


マリナは警戒した様子で後ずさろうとしている。


彰人「あ、すみません、特に何かをしようとしている訳ではなくて、ただ、2年前に週3くらいで通ってた者で、久しぶりに建物だけでもと思って見に来たんです」


マリナ「あの、私シフトなので」


マリナが足速に彰人の前を通り過ぎようとする。


彰人「最近お店はどうですか、お変わりはないですか?」


マリナは一瞬立ち止まる。


マリナ「特に変わりはありません」


マリナは足速にビルの中に入っていく。彰人は感極まった様子で突っ立っている。彰人は深く深呼吸する。


彰人「・・・マリナちゃんか。この匂い、声、体、懐かしいなぁ〜、俺あんな可愛い子イかせてたのかぁ〜」


彰人はふと笑い、白いビルを見上げる。


彰人「・・・行きて〜なぁ〜、マジで行きてぇ〜」


白いビルからイカつい赤髪の男が彰人に近づいてくる。


赤髪「あの、お兄さん」


彰人は赤髪に顔を向ける。


彰人「あ、店長さん、ご無沙汰してます!」


赤髪「、、、あ?」


彰人「あの僕、2年前に週3くらいで通ってた堀田です!」


赤髪「、、、うちのマリナにちょっかい出したって聞いたんですけど」


彰人「え、いや!めちゃめちゃ久しぶりに会ったので少し話しかけただけです!決してちょっかいなどは!」


赤髪「うちのNo.1のマリナが言ってるんだからそうに決まってんだろ。テメェどうオトシマイつけるつもりだコラァ」


赤髪が彰人を睨みながら顔を近づけてくる。


彰人「す、すいません、、、」


赤髪「・・・出禁だ」


彰人は瞬時に赤髪を見る。


彰人「で、出禁ですか?」


赤髪「ああ、何か文句あんのかコラァ、次うちのマリナに手出したらただじゃおかねぇからな。テメェの顔覚えたからな」


彰人は背筋を伸ばし、真っ赤な顔で涙を流しながら赤髪を見ている。


彰人「はい、、、」


赤髪は最後に睨みながら思いっきり彰人に顔を近づけ、ビルの方に戻っていく。彰人の足下で水が漏れる音がする。彰人が尿をもらしたのである。彰人は泣きながらズボンをどんどん濡らしていき、尿がズボンをつたって地面へと広がっていく。


女性の声「キャあああああ!!!変質者!変質者!!!」


男の声「どうされたんですかぁ!」


女性の声「あの人が、ずっとさっきからこっちを見ながら、、、こっちを見ながら、、、」


彰人は泣きながら必死に頭を横に振ってアピールしている。


男の声「お、おい!貴様!なにやってんだ!おい!お巡りさん!お巡りさん!」


激しい足音と共に警察1が彰人を力強く掴む。


警察1「署まで同行してもらう」


彰人「ち、違うんです、僕は」


警察1「話は署で聞く、早くいくぞ」


周りがざわつく中、警察1は力強く彰人を引っ張る。彰人は泣きながら訴える。


彰人「違う!僕はただピンサロに行きたいだけなんだぁ!ピンサロが好きなだけなんだぁ〜!!!」


彰人はさらに強い力で警察1に引っ張っていかれる。

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