終
タヌ助が、ソッと、タケルの母親の手を触った。
すると、タケルの母親にも、仏壇の隣に居る、タケルの姿が見えた。
「えっ、タケル?
どうして。。。」
タケルの母親は、とても驚いた顔で、ジッとタケルを見た。
「お母さん、元気?
ぼく、その化け狸さんの力で、お母さんと話しができてるんだ。
そして、アヤお姉ちゃんのおかげで、ミーアを見つける事ができたんだ。」
タケルが嬉しそうに言った。
「タケル・・・。
ゴメンね、ゴメンね。」
タケルの母親は俯いて、そう言いながら、大粒の涙を流した。
タケルは、母親に近づくと、優しく背中を撫でた。
「お母さん、悲しまないで。
ぼく、しばらくここに居るよ。
ミーアと一緒に、お母さんの傍に居るよ。」
タケルが、嬉しそうな笑顔で言った。
「タケル・・・ありがとう。」
タケルの母親は顔を上げると、嬉しそうな顔で、タケルを見た。
「それじゃ、アヤお姉ちゃん、ありがとう。
またね。」
そう言うと、タケルの姿が消えた。
外は日が傾き、涼しくなっていた。
「タケルくん、良かったね。
ミーアを見つけられたし、家に帰れたし。
タケルくんのお母さんも、タケルくんが傍に居てくれるって、喜んでたから、めでたし、めでたし、だね。」
アヤはタケルの家を出ると、嬉しそうな顔で、タヌ助を見ながら言った。
「まあ、そうですね。」
タヌ助が、目を逸らし、ぶっきらぼうに言った。
「どうしたの?
不満そうだけど。」
「だって、あれだけ頑張ったのに、わたくしを、『化け狸』と言ったんですよ。」
「ふふふ、それ位、良いじゃない。
似たような物、なんだから。」
アヤが笑いながら言った。
「本当に、もう、みんなして。。。」
そう言うと、タヌ助は、プイとソッポを向いた。
しかし、すぐにニヤリと笑った。
(失われた未来は戻らない。
でも、こころを繋ぐことができた。
それが、助けるってことなのか?)
「タヌ助、ありがとう。
最初から、タケルくんのこと、判ってたんでしょ?」
「ええ、まあ。
これでも、化けだっ・・・、タヌキの霊ですから。」
「お礼に、タヌ助の言うこと、何でもきくよ。」
アヤが元気よく、笑顔で言った。
「本当ですか?
それでは、アヤさんの裸をみせっ・・・オウッ!!」
タヌ助がそう言った時、何処からか飛んで来たボールが、タヌ助を直撃した。
(さすがわタヌキ大神さま、1ミリと狂わぬ正確なボールコントロール。。。)
タヌ助はそう思いながら、気を失った。
アヤと化け狸 ~ 初めての人助け 木津根小 @foxcat73082
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