6

「お邪魔します。」

アヤはタケルの家に入ると、居間へと通された。

アヤは居間の中央にある、テーブルの前に座った。

そして、居間の奥に、小さな仏壇が置いていることに気付いた。

仏壇には遺影が飾られ、周りには、沢山のお菓子や、おもちゃが置かれていた。

「えっ、タケルくん・・・?」

アヤは、可愛い笑顔のタケルの写真を見て、とても驚いた。


「タケルは、1年前、交通事故で亡くなったんです。」

タケルの母親は持って来たジュースをアヤの前に置くと、仏壇を見ながら、悲しそうな顔で言った。

「そっ、そうだったんですか。。。」

アヤが驚いて言った。


「あの日、居なくなったミーアを探しに、タケルは一人で家を出たんです。

そして、探している途中で、事故にあって。。。

あの時、探しに行かなくて良いって、引き留めれば良かった。

ミーアが居なくなったって、怒らなければよかった。」

タケルの母親はそう言うと、大粒の涙を流して泣いた。


タヌ助は、ポシェットからソッと出て来ると、アヤの手を握った。

すると、仏壇の隣に居る、タケルの姿が見えた。

「あの、タケルくんと、お話しさせて貰って良いですか?」

アヤは、タケルの母親を見ながら聞いた。

「えっ、ええ、どうぞ。」

タケルの母親は、涙を拭いながら言った。


アヤは仏壇の前に座り、目を閉じ、手を合わせた。

そして、こころの中で、タケルと話しをした。

(タケルくん、もう、行ってしまうの?)

(ううん。

ぼく、もうしばらく、ミーアと一緒に居るよ。

お母さんが、心配なんだ。)

(うん、それが良いね。)

アヤは、目を開け、手を離すと、後ろを向いて、タケルの母親を呼んだ。


「あの、ちょっと、こちらへ来て貰えますか。」

「えっ、ええ。」

タケルの母親は、少し戸惑いながら、アヤの隣に座った。


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