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「お邪魔します。」
アヤはタケルの家に入ると、居間へと通された。
アヤは居間の中央にある、テーブルの前に座った。
そして、居間の奥に、小さな仏壇が置いていることに気付いた。
仏壇には遺影が飾られ、周りには、沢山のお菓子や、おもちゃが置かれていた。
「えっ、タケルくん・・・?」
アヤは、可愛い笑顔のタケルの写真を見て、とても驚いた。
「タケルは、1年前、交通事故で亡くなったんです。」
タケルの母親は持って来たジュースをアヤの前に置くと、仏壇を見ながら、悲しそうな顔で言った。
「そっ、そうだったんですか。。。」
アヤが驚いて言った。
「あの日、居なくなったミーアを探しに、タケルは一人で家を出たんです。
そして、探している途中で、事故にあって。。。
あの時、探しに行かなくて良いって、引き留めれば良かった。
ミーアが居なくなったって、怒らなければよかった。」
タケルの母親はそう言うと、大粒の涙を流して泣いた。
タヌ助は、ポシェットからソッと出て来ると、アヤの手を握った。
すると、仏壇の隣に居る、タケルの姿が見えた。
「あの、タケルくんと、お話しさせて貰って良いですか?」
アヤは、タケルの母親を見ながら聞いた。
「えっ、ええ、どうぞ。」
タケルの母親は、涙を拭いながら言った。
アヤは仏壇の前に座り、目を閉じ、手を合わせた。
そして、こころの中で、タケルと話しをした。
(タケルくん、もう、行ってしまうの?)
(ううん。
ぼく、もうしばらく、ミーアと一緒に居るよ。
お母さんが、心配なんだ。)
(うん、それが良いね。)
アヤは、目を開け、手を離すと、後ろを向いて、タケルの母親を呼んだ。
「あの、ちょっと、こちらへ来て貰えますか。」
「えっ、ええ。」
タケルの母親は、少し戸惑いながら、アヤの隣に座った。
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