5

(今は、変える事ができる。

だから、助けられるものは、助けないと、な。)

「ふぅーっ、間に合って良かった。」

アヤの足元から、タヌ助の声が聞こえて来た。

そこには、タヌ助と、タヌ助にしっかり掴まれている、ミーアが居た。

タヌ助は呪縛を掛けられており、アヤからある程度離れてしまうと、またアヤの元へ戻されてしまうのだった。

その呪縛のおかげで、ミーアを掴んだタヌ助が、アヤの元へと戻って来られたのだった。


「ミーア。」

アヤの足元にいるミーアを見て、タケルがとても嬉しそうに言った。

そして、ゆっくりとミーアを抱き上げた。

「タヌ助、ありがとう。」

アヤはとても嬉しそうに言うと、タヌ助を抱き上げ、頬ずりした。

タヌ助の顔が真っ赤になった。


「ここが、タケルくんの家なの?」

アヤは、タケルとミーアを家まで送って来た。

「うん。」

タケルはずっとミーアを抱き、とても嬉しそうにしていた。

アヤが、玄関ドアの横にある呼び鈴を押すと、

「はい。」

と、家の中から、女性の声が聞こえて来た。


「ねぇ、お姉ちゃん。

ミーアを抱っこして。

ぼく、疲れちゃった。」

タケルはそう言うと、ミーアをアヤの方へ差し出した。

「うん、良いよ。」

アヤがそう言って、ミーアを受け取ると、玄関ドアが開いた。

中から、少しやつれたような顔をした、中年の女性が出て来た。

アヤの母親より若い感じがしたが、顔は青く、体の具合が悪そうだった。


「あの、何か御用ですか?」

その女性は、ジッとアヤを見ながら聞いた。

「えっ?」

少し驚いて、アヤが隣を見た時、そこにタケルの姿は無かった。

「あっ、あの。

この猫を、タケルくんと一緒に探して、連れて帰って来たんです。」

アヤはそう言うと、ミーアをタケルの母親に見せた。


「まあ、ミーア、何処へ行ってたの?」

タケルの母親は、ミーアを受け取ると、そう言って、ギュっとミーアを抱きしめた。

「それで、あの、さっきまで、ここにタケルくんが居たんですけど。。。」

アヤはそう言うと、キョロキョロと周りを見た。

「えっ、タケルが・・・?

そうですか、どうぞ、入って。」

タケルの母親はそう言って、アヤを家の中に招き入れた。


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