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「キミは大丈夫?
ケガしてない?」
アヤが、男の子を見ながら聞いた。
「うん、大丈夫だよ。」
「そう、良かった。」
そう言うと、アヤは立ち上がり、スカートに付いた土を、パンパンと叩いて払った。
男の子もアヤと一緒に立ち上がると、ジッとアヤを見つめた。
男の子は小学生低学年らしく、アヤよりも背が低く、まだ、あどけない顔をしていた。
「キミ、ここで、何してたの?」
男の子の視線に気付くと、アヤが笑顔で聞いた。
「ぼく、ミーアを探してたの。」
「ミーアって?」
「家で飼ってる猫。
友だちに見せようと思って、ここまで連れて来たけど居なくなった。」
そう言うと、男の子は、目に涙を浮かべた。
「そうだったの。。。
じゃあ、一緒に探そう。」
アヤが、男の子を見ながら、笑顔で力強く言った。
「えっ?」
「お姉ちゃんも、ミーア探すの手伝ってあげる。」
「ホント?」
「うん、任せて。」
アヤはそう言うと、右手でグッと力こぶしを作って見せた。
(どれだけ泣いても、過去は変わらない。
泣くだけ無駄だ。
そんな事に付き合わなくっても、良いじゃないか。)
「アヤさん、その子の事は良いから、お菓子を買いに行きましょう。
早く行かないと、売り切れますよ。」
タヌ助は、少し冷たい目で、男の子を見ながら言った。
「うわっ、縫いぐるみが喋った。」
タヌ助が話すのを見て、男の子が、とても驚いた顔で言った。
「このタヌキの縫いぐるみはね、タヌ助と言って、中に化け狸が入っているの。」
アヤは、両手でタヌ助を握ると、男の子に見せながら言った。
「ばっ、化け狸ではありません。
普通の、タヌキの霊です。」
タヌ助が、少し怒ったように言った。
「似たような物でしょ。
このタヌ助はね、生きている時に、悪い事をいっぱいしたから、死んでもあの世に行けなかったのよ。
だから、化け狸って言われても仕方ないでしょ。」
アヤが、とても冷ややかな目で、タヌ助を見ながら言った。
「うっ、ぬぬぬぬ。
ふん、まあ、良いですけどね。」
タヌ助が、拗ねた顔で言った。
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