リレー4
「ローブンイレマートの唐揚げな、アレは駄目だ」
俺の隣で、少女は口をとがらせながら言う。
「衣は良い。味付けも良い。だが肉がいかん。脂肪が多すぎる」
「……それ、今話さなきゃいけない?」
つらつらと語る彼女に、俺は苦言を呈する。
なぜなら俺は今、彼女の隣で死にかけているからだ。
「死にかけているからこそだよ。普段の君は私が何かに文句をつけ始めるとすぐ聞こえないふりをする。だからこそ今こういう状況で唐揚げについて語っている訳だ。」
図星だった。しかし、いつもかんじんな話をあとにしてこういう話から始める彼女も悪い。だが、それを口に出してしまうと、彼女は俺を無視してどこかへ行きかねない。彼女は怒りっぽいのだ。
少女はこちらに一瞥もくれずに唐揚げの次のピースを口に運んだ。
「今でないといけないだろう、そりゃ。人生はいつ終わってしまうかわからないのだからな。」
文句を言うわりには律儀に味わって嚥下した後に発された言葉に天を仰ぐ。こんなときでも空は青かった。
「今まさに人生が終わろうとしている人間がここにいるんだが?」
「それは私が唐揚げを味わってはいけない理由になるのか?」
少女が体の向きをかえ、こちらへぐい、と身を乗り出す。
「普通はなるだろ」
「いいじゃないか。君も脂肪が多いからな。まぁなんとかなるだろう。」
からかうように言われた言葉はにムッとする。いくら俺が太っているといっても、刺さったナイフをとめるほどではない。抗議の意味をこめてにらむと彼女は
「ハハハ、冗談だ」とケラケラと笑う。
《未完》
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