リレー3

 今私は絶望というものを映っている。

「まさか無人島に流されるなんて……」

 一通り島を見回したが、有用なものがなく、頑張って火を起こして、夜を向かえることにした。

 目を覚ますと、昨日欲しいと思っていたものがあった。


 ブルーシートだった。ブルーシートを使えばテントができるし、水を貯めておくことができる。

 だが僕は最初に、


 腹ごなしをしようと思う。

 何を食べようか?

 果物を探そうか、それとも海へ行こうか…


 海へ行って魚をとろう! だけど、大切なつりざおがない! どうしよう。


 すでで、魚をつかまえよう。

 ああ、こしがいたいけど、自分のためならがんばろう。

 おーおー


 ぬるぬるでつかめない!

 こんなに動きがはやい魚だと思わなかった。


 待てよ……? 私の味方は、すっとろいこの身体と何故かあるブルーシートだけじゃない。この島全てを、利用できるじゃないか。

 海岸から離れ、余るほど転がっている流木と石を拾う。石でシートを裂いて細いシートを何本もつくる。シート一枚丸ごと裂くと、かなりの本数になった。次に、流木を針代わりにしてそれらを編みこんでいく。集中、集中。汗がシートの残骸に滴りつづける。

「できた…!」

 不格好だが、私のつくった網だ。誇らしい思いでひととおり眺め、岩場に仕掛ける。

 翌朝、鳴り続ける腹をいたわり引き上げると、小魚が数匹入っていた。やった、この生活も苦しいが悪くはない。しかし疲れたな。テントで休みたい…。しかし、目の前にあるのはテントになり損ね網になってしまったブルーシートだった。私の絶望は、つづく。

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