第2話 出逢いは偶然、再会は必然。

  

「え、。」

ぼくは思わず素っ頓狂な声が出てしまった。クラスに入ると。そこに居たのは紫電 渚だった。

一瞬、ほんの一瞬。彼女と目が合ったような気がするが、気のせいだろう。そんなことを考えていると、


「よっ、圭!今日もイチャついて登校か?いいご身分だな〜」


「...うるせぇよ。お前ともまた同じクラスなのか。」

コイツはなんだかんだ俺に絡んでくる友達?の成宮嶺二。とにかくやかましいやつだ。


「おぉ〜怖いねぇ、また怒らせちゃったの?咲坂さんのこと。」


「っるせぇよ。...んまぁ、そんなとこ。」


「そんなことどうでもいいけど、お前見たか、うちのクラスのマドンナを」


コイツ今、俺の事どうでもいいッて言ったのか??まったく失礼しちゃうな、もう。


「あぁ、あの人だろ。たしかに雰囲気からしてだいぶ違うよな。葵のやつも凄いけど、それとはまた違う感じだ。」


「モテる男はそんな贅沢な比較ができるのねぇ、なぁお前、いっぺん死んどく?」


「おい急なガチトーンやめろよ、普通にこえーよ。大体お前は僕の事一体何だと思ってんだよ。」


「美少女限定の釣り竿的な?」

 ...コイツ言いやがったよ、そもそも僕の事を人としてすら認識してねぇよ。はたしてほんとにコイツは友達...なのか?

 そんなことを考えている突然、紫電 渚がこちらに近づいてきた。


「おはようございます、宵宮君。今日から同じクラスですね、よろしくおねがいしますね。」


「あ、あぁよろしく、紫電さん?」

 僕はいきなり話しかけられたことに戸惑いつつ返答したことで少し声が上ずる。

それだけ言うと彼女はスタスタと自分の席に戻っていった。なんだかんだ会話してしまったが、なぜ僕の所まで来たのだろうか。ほかの男子の所にも挨拶に行っているのだろうかと思って周りを見たのだが、


「お前さぁ、ほんとに釣り竿だな。何をしたらこうも美女たちと接点を持てるのやら。視線が痛いだろ?いっそそのまま貫かれて死んでくれ」


...確かに視線がすごい。男子から羨望と嫉妬の眼差しを浴びている。新しいクラスになって一時間も経たないうちに居づらくなってしまった。まぁ、ぼちぼちさぼるようにすればなんとかなるかな。


「なんで、僕のところに来たんだろうな。」

僕は思ったことをそのまま口にした。


「ん-それは俺が知りたいなぁ?自覚ないとかますますたちが悪いな、なぁ圭君??」

「うん、痛いよ僕の腕ちぎる気なのかな?やめてくれない?」

 嶺二はしれっと僕の腕をつぶそうとしていた。痛いなぁ。

そんなこんなで僕の高校二年生の生活は幕を開けた...とは言ってもクラスにはとてもじゃないが居づらい。


_________

そんなある日、授業をサボって屋上で昼寝をしようとしていると、


「ほぅ、先客か。珍しいな。」

「今授業中なのにこんなところになんで人が来てるんだ?」

 とその人物に向かって吐くと、そこにいたのは_紫電 渚だった?いや、紫電 渚であることには変わりないのだが、口調や雰囲気がだいぶ違う。様子を窺っていると、


「あぁ、君か。名前は確か_宵宮 圭だったか。いつも妹がお世話になっているよ。ボクは紫電 澪、渚の双子の姉さ。」

「あと、さっきの質問についての回答だが、授業中なのにここに来てサボっているのは君も同じじゃないか?」


「ぐぬぬ、それは...」

そっかそっか、双子のお姉さんだから雰囲気が似ても似つかなかったのか...。ん?双子?学校で見かけたことあったか?というか彼女について知ってることなんてそんなにないな。様々な思考を巡らせていると、彼女が先に沈黙をやぶった。


「その顔は…知らなかったって感じか。まぁ無理はない、あの子のことだ。キミの話をよく聞かせてくれるが君自身とはそこまで関りがあったわけではないのだろう?」


「...え、えぇそんな感じです?というか紫電さんと紫電さんのお姉さんは同じ学校でしたっけ?見かけたことないような...」

 そうだ、紫電 渚だけでさえも話題になるのだ、そんな彼女にそっくりのこの人が居たら連日話題になるはずだ。_でも聞いたことなかった。何が起きているのかと考えていると、


「それは、そうだろう。何せボクはこの学校の生徒ではない。...退屈は嫌いなんだ。だからこうしてたまに渚と入れ替わるんだ。面白いだろう?」

 

いや何言ってんだこの人。普通にヤバいこと言ってないか?双子で入れ替わりって...


「あの、それじゃ僕はちょっと_」

そそくさとその場を立ち去ろうとして、呼び止められる。


「まぁ、待て。このまま返すわけにはいかないだろう?ボク達の秘密を知ってしまったんだ。...ここで君には消えてもらおうかな。」


「端からそのつもりだよ、さっさと消えますよー。というか、僕はお前たちの秘密を知ったところでどうにもしないよ、なんの意味もないじゃないか。」


「いいや、そんな訳がないね。ボク達のような美少女の弱みを握って何もしないわけがないじゃないか。」


「だ・か・ら、なんもしないって言ってるだろう?大体僕みたいな陰キャが発言したところで誰が耳を傾けるんだよ!」


「ふむ、それもそうか。そこまで言われちゃ何も言えないな?んー?でもやっぱ気が済まないから!なんか一個なんでも言うこと聞くから。早く言って、。」


ものすごい剣幕でせまってきたので気圧されながら、


「じゃ、じゃあ僕に関わらないでくれ。頼むから平穏な日常を邪魔しないでくれ!」


「それは無理だな。」

___心の底からの叫びを紡いだが、あっさり断ら

れたのだった。

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