第2話 とことん踏み砕かれる一縷の希望
はんぺん「ぜ、絶望……」
玉露「ど、どうやって防ぐんですかこんなの……」
はんぺん「こっちも無敵バリア張らない限り無理だよね?」
銀「一応、こちらも奥義で無敵バリアを全員にかけたり、防御力を大幅に上げたりすることは出来る。ディフェンダーはアタッカーを庇うことも出来るしな。
しかしバリアを張れてもせいぜい1~2枚が限度。バリアは一度攻撃を受ければ剥がれてしまうから、全体攻撃を3回もやられたら全員丸裸だ」
はんぺん「奥義でバリアを張れるキャラを大量に突っ込むとかは?」
銀「それも手段の一つではあるな。
しかしそうなるとアタッカーの火力が大幅に落ちるし、効率が悪い」
玉露「でも、バリアを張ったり防御力を上げる奥義を規則的に回していければ、いつかは撃破出来るんじゃないですか?」
はんぺん「そうだね。火力バフじゃなくても防御バフもあるんでしょ?
防御バフかけ続ければ、こっちだってバリア関係なく無敵同然のカッチカチになるんじゃない?」
玉露「それに、相手も無敵バリアを張り続けたり庇う奴がいるとしても、センパイはバリア貫通可能キャラを持っているんですよね? 基本スキルではなく奥義でしか撃てないとしても、辛抱強くコツコツダメージをためていけば……」
銀「そう思って挑戦しているんだが……
滅茶苦茶しんどい作業だぞ……正直、仕事の方がマシと思えるレベルに」
はんぺん「それでも撃破出来るんなら、いいんじゃない?」
銀「それでも撃破出来ないから困ってるんだ」
玉露・はんぺん「「へ?」」
銀「この青岩は全体攻撃の他に、こちらのバフを全部引き剥がす単体攻撃をぶちかましてくる。
全体攻撃じゃないのが救いだが、そうなるとどれだけ防御力アップのバフをかけていても全て無意味だ」
玉露「えぇ……全体攻撃の嵐をしのいでやっと単体攻撃が来たと思ったらそれなんですか。
その直後に同じキャラが攻撃食らったらアウトじゃないですか」
銀「そのパターンで何べん事故ったか分からん」
はんぺん「このクズ岩、他になんかボーナス行動的なのないの?」
銀「一応他にも単体攻撃があるぞ。しかしそれも運が悪いと1ターン行動不能になる、つまりスタン効果のオマケつき」
はんぺん「うわ、エグイ……」
銀「さらに言うと手前の化けキノコ、かなりの高頻度で混乱つきの単体攻撃を撃ってくる。
運が悪いと3ターンの間、そのキャラ操作不能」
玉露「マジでゴミクズキノコですね……」
銀「ちなみに、9割の確率で混乱を阻止できる防具で固めていても、残り1割をかいくぐってくるぞ。長期戦になると仕方ないとはいえ」
はんぺん「生ゴミの日に捨てられないかなこのクソキノコ」
銀「一応まとめると、このゴミクズどもの行動パターンはこんな感じだ。
アホ岩
常時3回行動
・全体攻撃(体感で確率3分の2。食らったら有利属性以外は死ぬと思え。有利属性でも瀕死)
・単体攻撃その1(一度やられるとその分、無敵バリアを再度張られる周期が短くなる。これを連続2度やられたら次のターンでもう無敵バリア復活)
・単体攻撃その2(スタンつき。言うまでもないが有利属性以外だと4桁喰らって(ry
・単体攻撃その3(やたら火力が高い上、一発でこちらのバフを全て解除してくる地獄の一手)
・無敵バリア×3の復活(3ターンに一度のはずだが単体攻撃その1のせいで実質1~2ターンに一度)
クズキノコ
常時3回行動
・カス岩をかばう(常時)
・単体攻撃その1(混乱つき。体感で確率2分の1)
・単体攻撃その2・その3(HP吸収とか毒つき。他と比べるとボーナス行動に見えるがそれでも有利属性以外は4桁(ry
・全体攻撃(3ターンに1度確定。毒つきだが被ダメージはないので、最大のボーナス行動と言える。それでも全員が毒でじわじわ削られるのは地味に痛いが)
……こうしてパワポで箇条書きにすると壮観なものだな」
玉露「センパイ、ヤケにならないでください」
銀「そんなこんなで、奥義を撃とうとしたキャラが混乱させられたりスタン喰らったりもしょっちゅうだ……
40ターンかけて、もうちょっとでキノコだけは倒せそうなところまで来た瞬間に壊滅した時は……
いっそ、空術を使いたいと思ったよ」
はんぺん「銀ちゃん。一応ボクら、転生前って体裁で話してるんだからそのワード出しちゃ駄目」
玉露「じゃあ、全員の素早さ思いきり上げて、相手が行動する前に一気に倒してしまうのはどうでしょう?」
銀「こっちの素早さ、一番速いサポーターでも盛りに盛ってやっと200到達するかしないか。
対して青岩の素早さは213もある。全体攻撃はさらに素早さのプラス補正がかかるから、これを超えるのははっきり言って不可能に近い」
玉露「うわぁ……
あらゆる手段をことごとく潰しにかかってる感すごいですね」
はんぺん「じゃあ、逆にアタッカーの火力を盛りに盛って、一気に無敵貫通奥義で倒すのはどう?」
銀「あ、言い忘れてたがあっちのHP、だいたいどっちも30万前後な」
はんぺん「……」
玉露「それ、レイドバトルでしか許されない数字では……」
※レイドバトル:オンラインゲームにおいて多数のプレイヤーが協力し、少人数では倒せないような強敵を攻略することを指す。
銀「対してこっちは、何もバフしない状態での奥義ダメージは、下手すると5桁いかないこともある」
はんぺん「さっき1億ダメ出るとか言ってたのは?」
銀「あれはターンを重ねてバフを数回重ねがけしまくって、さらにデバフも散々入れての話。あと、敵が強化されまくったこのイベントじゃなく、通常のイベントでの話だ。
それでも、1ターン目から桁違いのダメージを出すのは……
有償装備と有償キャラで目一杯固めても、滅茶苦茶運が良くないと無理だろうな」
玉露「今回の場合、まずデバフが出来ませんからねぇ」
銀「そう。キノコが庇ったりだのバリア3枚だのあるからデバフは通らない。
だから、防御全部捨てて火力盛りに盛って、全体攻撃の嵐を潜り抜けてバフが全て入って奇跡的にアタッカーの攻撃が全部刺さったとしても、一撃では到底無理だ。
少なくとも、俺の手持ちキャラじゃな」
玉露「……」
銀「ついでに、アホ岩がやってくるあの全体攻撃な。
あれ、火力ダウンのデバフつき」
はんぺん「…………」
銀「だからディフェンダー役は、よほどのことがない限りアタッカーを庇わなきゃならない。
その間にサポーターが瀕死になったとしても、見捨てざるを得ないなんて状況もしばしばある。
でなきゃ、せっかくの火力がゴミみたいなカスダメになってしまうからな」
玉露「…………」
銀「こういう状況だから、短期決戦を望むならガチャでキャラを引いてとにかく火力をバフって強引に突破するか。
キャラを引けず長期戦に持ち込むしかないなら、火力を捨ててひたすら防御を上げるバフをするしかない。
俺は後者を選択するしかなかったから……火力を捨てるしかなかった……
その火力さえゴミ化して、30万削らなきゃならないのに一撃3桁しか出なかった時は……もう……」
はんぺん「もういい、もういいよ銀ちゃん」
玉露「正直、さっきのガチャでボーナスキャラを引けたとしても、結構厳しい気がしますね……
それがないともう、無理ゲーとしか」
銀「うぅ、ありがとうお前ら……
俺……頑張ったよな?
もう、ゴールしても(ry」
~数日後~
はんぺん「銀ちゃん、あれからあのイベントどうしたの?」
銀「うん、喜べ。何とか倒せたぞ」
玉露「た、倒せたんですかアレを!? さすが銀センパイです!!」
銀「90ターン近く、リアル時間で3時間かかったがそれでも何とか、やり切った……」
玉露「90ターン近くもあの猛攻を耐えきったんですか……
センパイのド根性あっての勝利ですね!」
銀「いや、色々試行錯誤で悩んでいたら、ある動画を見てな。
その動画で成功していた方法を試してみただけだ」
はんぺん「ある動画?」
銀「『イーグル生涯イチ推し娘』さんの動画だ。
界隈では有名な動画主さんだぞ。最弱と言われたキャラを地道に鍛え上げ、RPG史上最強と言われた裏ボスをそのキャラ一人でぶっ倒した猛者だ。
今回のイベントは彼女?も動画を出していて、結構苦労しながらこの方法を編み出したとコメントで語っていた。俺はそれを真似ただけだよ」
玉露「そうだったんですね……
でも方法を真似るだけでも、相当な根性と耐久力が必要なのは確かでしょう?」
銀「それはそうだな。
動画もほぼ倍速で収録されていたが、それでもかなりの時間がかかっていたし」
はんぺん「それで? どんな方法で突破出来たの?」
銀「防御力アップ奥義を持つキャラを複数投入して防御力を爆上げしまくって、全員の被ダメージが常に0になるようひたすら調整を続けた。奥義を回転しやすくなる奥義を持つキャラも同時に投入した。
つまり、1ターンの間は絶対剥がれない無敵バリアを毎ターン張り続けるようなもん」
玉露「それだけ聞くと簡単そうに思えますが、状態異常とバフ解除の嵐を潜り抜けてそれを90ターン近くもたすのは至難の業でしょうね……」
はんぺん「バフってどんなにかけても大概3ターンで自然消滅するし、その上いつ行動止められてもバフ解除されてもおかしくない状態で延々と調整続けるってヤバくない?」
銀「マジの地獄だったぞ。一人でも行動不能になったらその瞬間から一気に崩壊するからな……
おかげで今も肩こりと頭痛が取れない」
玉露「お、お疲れ様です……」
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