第6話 猫になってもあなたに逢いに行くよ

"ねぇ〜この曲ちょ〜ハマってるの!聞いて!"

"なにー?"


【猫 DISH//】


"なんだよ!失恋の曲じゃねーかよ!さみしいわ!"

"まぁ、そうなんだけど、よくないー?これ?

うみたん猫になって来世はてんに逢いに行くよ!!"

"猫かよぉ〜"



別れた今思えばこの歌詞はほんとにぴったりで、天は今頃何を思ってるんだろう。

猫になって逢いにいったら。

私を抱きしめてくれるだろうか?涙を拭って優しくキスしてくれるだろうか?



最初は嫌がってた天だったが、あまりにも私が何回もリピートして聞くから、天はこの曲が大好きになってカラオケでは何回でも歌ってくれた。

サビの高音が出ないからとそこだけ私に歌わせて、私の好きな歌なのに1回も歌わせてくれたことがなかった。


その頃から天は私のことを【彼女】と呼ぶようになっていた。

でも、私は付き合おうとも言ってないし1ヶ月も私のこと放置してて、急にスキスキモードになった天の気持ちについていけなかった。


"俺さぁー、グラフ書くのちょー好きなのね!みてて!"

"う。うん。"

"出会った時が一番下で年末が真ん中くらいで今が絶頂!!

あ、間違えた。1ヶ月あってなかった所はここは横ばいだな。こっからあがったんだ!"

"あ、そうなんだぁ〜。あはは〜"



正直笑えなかった。

横ばいとして鉛筆で描かれた線。

私はこの時、天に会いたくてせつなかったのだ。

彼はその気持ちも知らずに

────── 横棒を引き直した。

それは私にとったら悲しいことで、プレゼントあげたらこんなにスキスキなるの?ておもった。

その時はそう思って拗ねてた。しばらくずっと。



でもさ、今考えたら。好きでいることを我慢した期間でプレゼントくれたり、ミートソース作ってきてくれたりして、ストッパーが外れたって意味だったんだよね。それに気づくのに長い時間がかかったよ。

だって、私はものすごく寂しがり屋だから。


猫はひとりが好きだけど、私はひとりが嫌いだよ。

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