奪われたレンガ道

〇コッコとトニーの決闘


・コッコは急いでLEOを起動し、ローラーダッシュでブロックを避ける。

・しかし一つを避けても、その次、またその次と、いくらでもブロックが出現し、襲い掛かってくる。

・「ココねー!」

・マータは叫ぶが、その足元も浮き上がる。金色のコンテナが、マータを空中高くに持ち上げる。

・「人魚のお嬢さんは安全な所で見てな。危ないからな」

・戦いは激しく、マータは見ていることしかできない。

・コッコは何とかしてブロックをかいくぐりトニーに接近しようと試みるが、トニーも的確にブロックを落とし進路を塞ぎ、自身も隠れながら移動して距離を稼いでいる。

・だがこれは戦術でもトニーの弱気でもない。単に遊んでいるだけだ。

・「どうした? 異能をパクっただけの相手に近づけもしないか? 『ボクが一番上手に扱えるのに』とか言ってみたらどうだ?」

・「そんなに……思いあがってなんかいないさ……! ボクは強くなんかない。ボク以上に強い人だって、まだまだたくさんいる」

・落ちてくるブロック。ついにコッコは壁際に追い詰められ、ブロックに押しつぶされてしまう

・かに見えた

・ブロックが一瞬にして粉々に吹き飛ぶ。その向こうから、アーキタイプをWOODMANに切り替えたコッコがドーザーブレードを携えて疾走する

・「強度が……? そうか。ドーザーブレードを電磁装甲として強化したのか」

・次から次へと襲い掛かるブロックをドーザーと剣槍でいなしながら、まっすぐにトニーへ向かう

・そしてドーザーブレ―ドを変形。剣槍に接続し、巨大な斧と成して振り下ろした。

・だがトニーは、防御も回避もしなかった。

・ただ棒立ちになり、自身のフォースフィールドでコッコの一撃を受け止める。

・電磁装甲として強化されたドーザーでも、強力なフォースフィールドは突破できない。霊力に差がありすぎるのだ。

・「そうだなあ。お前は弱いなあ。全く足りてない」

・そしてバースト。フィールドが強力ならバーストも威力を増す。さらに、吹っ飛ばされた先にはブロックが生じていた。

・コッコは自身のフィールで衝撃を和らげるが、衝突は免れない。その隙をついて、トニーが襲い掛かる。

・「いやぁーはあああ!」

・シャコの両手のハサミ。今度は遠距離ではなく近距離から連打して直接コッコに衝撃波を叩きこむ

・フィールドのみでは防御しきれず、下がってイエローブリックロードも出せないため、コッコは、はりつけにされたブロックが砕けるまで殴られた。

・コンクリート床に投げ出され、はずみ、転がるコッコ

・「おいおい、これじゃあ本当に死にに来たようなモノじゃあないか? まあそれもいいが、ここまで歯ごたえが無いと単に自棄になっているんじゃないかって思えてきたな」

・トニーはコッコの首を掴み、宙づりにする。

・「もしそうなら興覚めもいいところだ。自殺のつもりで来たのならハッキリ言って迷惑だし、自己犠牲どころかただのかっこつけのエゴイストだ。食ってやる価値もない」

・「……いや。全くその通りだよ。ボクはただのエゴイストだ。人を助けると言っておきながら、いつもいつも……間に合ってない。助けていない。それどころか、誰かに助けられてばっかりだ」

・「マータちゃんにも。何度も命を救われた。彼女がエイ男の攻撃を防いでくれた。彼女が身を挺してボクをかばってくれた。だからボクは、生きていられる」

・「情けねえな。騎士サマよ」

・「本当にね。だからココだけは、どうしても、譲れないんだ」

・コッコがイエローブリックロードを出して、電磁装甲を最大に。自分ごと感電させる

・「く、この程度では時間稼ぎにしかならないぞ」

・「うお。しびれた!」

・トニーの耳に届く声。

・コッコが抱えていたぬいぐるみ。イナバ。

・「……あ、悪い。集中しすぎていた。既に鉄火場だったか」

・「時間は守ってもらわなきゃ困るよイナバ。今度からはモーニングコールの番号を教えて。。でないともっと強い電気ショックを与えるよ」

・「勘弁してくれ。せっかく作ったデータが飛んじまう」

・そして腹の中から、一枚のディスクを取り出す

・「とりあえずできたぞ。OZー03 SCARECROWだ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る