決闘。太陽の騎士と暴食のサメ
〇コッコとトニーの決闘。
・時刻は夜明けになったが、雲は未だ厚く覆われていて、日が差すことは無かった。
・モノトーンのままの倉庫街をコッコは進み、やがて一つの大きな倉庫にたどり着く。
・扉は閉まっていない。トニーはそこで待っていた。
・「……本当に来たんだな」
・空っぽの倉庫の中で、トニーとマータは待っていた。
・マータは拘束されてはいない。必要が無かったのだろう。コッコの姿を見て立ち上がる。
・「うん。来たよ。約束だからね」
・「見たところ一人でもあるようだな。水上警察がさっきまで居たが、何故か引き揚げていったしな」
・「約束だからね」
・「お前。死ぬ気か?」
・「そういうつもりはないよ……マータちゃん!」
・マータを見るコッコ。
・「預かってるものを返しに来たよ。さっさと終わらせて、一緒に帰ろう」
・「え? 何か預けてたっけ?」
・「ほら、これ」
・ホットパンツのファスナーを開くコッコ
・「……いやいきなりぱんつ見せられても困るんだが。何のマネだそりゃ」
・「それ、マータのぱんつ……尾びれ出す時に無くしちゃうから……」
・「え、怖。なんでそんなもん今履いてるんだお前!?」
・「これはアナトリアの古くからの風習で、決闘に赴く騎士に夫人の身に着けたモノを身に着けることで夫人の代わりに決闘に挑むという意味合いが……」
・「いやだからって履くなよ!」
・「ココねー……ありがとう……」
・「感動してる!? お前らなんかおかしいぞ!? それとも、最近の女子はこれが普通なのか!?」
・「だから、ボクは負けないよ。あと履き心地が良い」
・「聞いてねえよ! なんだよそのやる気!」
・頭を抱えるトニー。
・しかりやることは変わらない。
・「全く調子が狂うぜ。噛み合わん。ただでさえ中年男性は十代女子と話すのに気を使うって言うのによ」
・「これからその女子を食べようとしている人の台詞とも思えないね」
・「いやいや。世の中、女の子がセクハラされるのには敏感でも、サメに食い殺されて臓物まき散らすことは気にされない。むしろ前者の方を不道徳と非難する。そういうモノだぜ?」
・立ち上がり、アーキタイプを着装するトニー。
・「来な」
・「うん。それじゃあ……」
・と、コッコは自身のMDを出そうとしたところで、気付く
・イナバはまだ、スタンドアロンモードから目覚めていない
・「え!? まだ寝てるの!? ちょ、もう時間だよ起きて……!」
・三枚目のディスクはイナバの腹の中。眠ったままでは取り出せない
・「なんだあ? アーキタイプは使わないのか? だったら、こちらから行くぞ」
・トニーが指を鳴らす。
・するとコッコの頭上に、金色の直方体が現れる。
・「イエローブリックロード!?」
・コッコの異能。しかし、コッコが出すブロックよりも遥かに大きい。貨物用コンテナのような大きさだ。
・「簡単にコピーできるような安い能力だったぜ! 俺様流にアレンジしてみたが、気に入って貰えるかい?」
・瞬間。ブロックが落ちてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます