地下鉄編

前門のサメ。おそらくワニ。

〇地下水路飛び込んだコッコとマータ。そこに立ちふさがるトニー


・コッコがイエローブリックロードを使い、水路を照らす

・上下に深まっていく縦穴。その下方に、トニーが待ち構えている

・「初めまして……で、良いんだな? お嬢さん方とど畜生め。港湾労働者組合のトニー・ジャオだ」

・「……わっさ。ボクはコッコ=サニーライト。こちらはマータ・カルカーサ。そしてイナバ」

・「おお。おお。そいつがイナバか。ずいぶん愛らしい姿になったもんだ。巨乳美少女の胸に抱かれて、さぞ気持ちが良いだろうなあ?」

・「どうかな。いくら巨乳でも『相手による』って部分はあるぜ」

・「そうか? 美味そうな身体をしてると思うがな……で」

・トニーは、歯をぎらつかせて言う

・「……どっちだ?」

・「ボクだ」

・即答。コッコが前に出る。

・「ボクがストームルーラーだ。用があるならボクが付き合う」

・「ああ、そうじゃねえ。そうじゃねえんだよ」

・指を振るトニー。

・「先に言っておこう。俺様の異能は暴食の魔獣。『食べた』異能をコピーできるんだ。異常存在であってもな。だから用なんかねえよ。食うだけだ」

・「どっちかを聞いたのは、食べる順番さ。どっちを先に食えば良い? アナトリアの騎士は食ったことはないんだが、こういう時は『後に』するか『先に』するかどっちがいいんだ?」

・「……ボクは、ショートケーキは端っこのスポンジからちょっとずつ食べて、いちごは最後に食べるよ」

・「そうかそうか。そういうことなら俺様は逆だ。いちごから先に食べる。赤いからなあ……!」

・トニーが突撃する。

・フォースフィールドがあるので呼吸できなくてもコッコは多少は問題ない。しかし、アーキタイプの方は水中に対応していない。生身と異能で対峙するしかない。

・「無茶だ! 逃げろコッコ!」

・「相手は一人だ! ボクが時間を稼ぐからスキを見てマータちゃんは逃げて!」

・瞬間。衝撃。まだ接近してもいないのに、頭部に衝撃を受ける

・「かっか……逃げるならそれも好きにしな。尾びれ振って逃げる女は好きだ」

・トニーの両手には、シャコ兄弟にあったはずの腕。ハサミ

・「まさか……!」

・「気にするな。もてあましていた能力を、俺様が有効に活用してやるってだけさ。むしろ感謝して欲しいくらいさ!」

・左右の手の衝撃波を共鳴させ、特定箇所でダメージを与える。波の伝わる速度は水中の方が早い。

・イエローブリックロードを展開するが、振動波は壁を回り込んでいくため防ぎきれない。

・そうしてロクに動けないコッコに向かって、トニーはさらに左右のハサミでパンチを仕掛ける

・イエローブリックロードはそれでも、トニーのラッシュを防ぎきるが

・「つまらねえな」

・トニーは口を開き、イエローブリックロードに噛みついた。

・それで霊子の障壁はひび割れ、砕け散ってしまう

・「馬鹿な!? 電磁装甲なんだぞ!?」

・さらに襲い来る両腕を、コッコは剣槍でガードする。

・しかしそれも、振動波によってあっけなく破壊

・さらにさらに、尾びれによる追撃。

・コッコにこれを防ぐ術は無く、トニーの尾びれについていた円盤状の物体がコッコの身体に巻きつく

・「チェーンマインだ!」

・言うが早いか、巻きついた円盤が全て爆発する。

・一瞬。しかしコッコのいかなる防御も意味を成さない、完全な敗北。

・深刻なダメージを受け、フォースフィールドの消えかけたコッコに、トニーの追撃が迫る

・だがその間に、マータが回り込んだ。

・すぐさまコッコを抱え、尾びれでトニー打つ。

・と、見せかけて、身体をひねり、トニーの脇をすり抜ける

・そして縦穴の横に空いている一本のダクトに、小さな体を潜り込ませてその場から離脱すした。

・「いいぜ。逃げな。追いかけるのは好きだからな」

・トニーは振り返りもせず、ただ一言呟いた。

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