嵐の王

〇マリカから明かされるストームルーラーの『継承者』について


・マリカの帝鐘に反応し、キョンシーが動く

・それを察知して、コッコが素早く抜剣。マータを護れる位置に。

・向かい合うマリカとマータ。

・「詳しく……話して貰えないかな? ボクは今冷静さを欠こうとしているよ」

・「食事の席で抜剣とは。騎士の所業とは思えませんわ」

・「確かに。今の状況は騎士としてふさわしくない……だけど先生は言っていた。騎士たるもの、女の子の安全が最優先だと」

・「良いでしょう。ではマータさんよく聞いてください」

・マリカは問う

・「まず、マータさん。昨夜にあなたは配送依頼を引き受けた。そうですね」

・「はい……」

・マータは頷く。トラブルシューターのネットワークに流れた依頼。しかし最低のDランクであれば、マータのような一般人でも請け負うことができる。

・「何か、変わったことはありませんでしたか?」

・「……その時は、ひどい雨で……雷がなっていて……」

・「それで?」

・「ち、違う! 違うよ! マータは何もしていない!」

・「落ち着いてマータちゃん。話を続けて。ボクが護るから」

・コッコがマータの肩に触れる

・マータは、その手の暖かさを感じて、いくらか勇気をふり絞る

・「その……雷の音にビックリして、転んじゃって……お尻で……下敷きにしちゃって」

・「中身が壊れた。と」

・「ち、違くて! そうじゃなく、いや、そうだけど、そうじゃなくて!」

・マータは首を振る

・「封筒の中身を確認したら……中のMDは無事だったの! 壊れたのは……その封筒の形を整えるために入れてた、アクリルの定規だけで……」

・「アクリルの定規……?」

・イナバが眉をしかめる。眉はないが。

・「だから折れちゃった定規の代わりに竹の物差しを入れて、次の場所に送ったの。それだけで! 中身には何もしてない!」

・叫ぶように弁解するマータ。

・しかし帰ってきたのは、沈黙

・そして

・「ストームルーラー。ルーラーとは王の意味ですが、古の時代、王は『長さ』を決める役割を持っていたそうです」

・「キュビットって古い単位は、古代の王様の腕の長さが基準だったんだよな。古の時代、王は定規だった」

・「……イナバさん? 何を……?」

・「有り得ない。クラスⅣの異常存在だぞ。フォースフィールドはどうした。ただの素人に破壊できるわけがない」

・「いいえ。有り得ます。王を殺す者が次の王になる。シンプルな理屈です」

・「マータちゃん!」

・コッコは叫び、マータを抱えて走り出した。

・出口ではない。入り口は既にキョンシーが固めている。

・コッコはマータを抱えたま、窓ガラスを蹴り破って外へ出る

・窓から出るのは危険だ。しかし、レストランの中に居るのはもっと危険だった。

・爆発。

・テーブルの下に仕込まれていたプラスチック爆弾が、レストランのフロアごと吹き飛ばしたのだ。

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