ホテル・ウィクトーリア編
女の子をホテルに連れ込もう
〇ホテルで休憩しよう
・シャワーを浴びるマータ
・貧民街では水の使用は限られている。まして、こうしてシャワーに丁度良いお湯をいくらでも使えることはほとんどなかった。
・ボディーソープや石鹸も上等なモノだ。多分。ただ髪を洗うだけで、髪の色つやが良くなっている気がする。
・しかし心はどこか落ち着かない。いろんなことがありすぎたからだろうか。
・巻き込まれた形とはいえ、コッコはマータを護ってくれた。コッコはなぜ都市に来たのだろう。ただ他人の頼まれごとで、あんなにも戦えると言うのか。
・あるいは自分も。誰かのためであればもっと頑張れたのだろうか。
・「…………」
・シャワーから出て、身体を拭く。こういうホテルはタオルまで上等だ。これ一枚だけでも、一週間は平気で眠れてしまう。
・部屋に戻ると、コッコはつめを磨いていた
・身体はバスタオル一枚を巻くのみ。
・「ん。出てきたんだ。もう少しゆっくりしていてもよかったのに」
・コッコの指は長い。爪の形も美しい。それをガラス製の爪やすりで丁寧に磨いている。
・「先生がね。騎士たるもの、爪はよく磨けって言っててね。戦闘中に割れたりしたら困るし。それ以外でも、イロイロ役に立つからって」
・十本の指を伸ばして、爪の具合を確認するコッコ
・そこでようやく振り向く
・「あれ。服着ちゃったの?」
・「えと、マータはこれ以外ないし……」
・「ふうん……」
・立ち上がり、マータに近づいていくコッコ。正対し、接近する。
・「まあそれもボクは好きだけど。どうせならもっと、素敵な恰好がいいなあ……」
・「え、え……」
・「マータちゃんはかわいいし。背格好も、ボクと同じくらいだし」
・「ねえ。脱いじゃおうよそれ。その後はボクに任せてくれれば……」
・「そ、それは……!」
・「早く支度しろバカ者」
・妙な雰囲気になる直前でツッコミを入れるイナバ
・その胸に蝶ネクタイを巻いている。
・「ホテル・ウィクトーリアか……確かに、この街で組合が手を出せない場所ってきたら、ここ以外にないっていうのは分かるが……」
・「マータちゃんの安全を確保するにはいいでしょう?」
・コッコの提案。事件が解決するまで、マータをホテル・ウィクトーリアで保護すること。
・「だがなあ……俺はそもそもリヴァイアサンからブツを盗んだわけだしなあ……」
・「相手が企業だったら、取引次第では協力してくれるはずだよ」
・「取引って言って何を吹っ掛けられるかわからねえぞ」
・「それなら。ストームルーラーはホテルに返してもいい。ボクの目的はあくまでストームルーラーの行方を調べることで、奪還じゃない。ボクはマータちゃんの安全が確保されればそれでいいんだから」
・「お前……それは……しかし……」
・「元は盗んだんでしょ? じゃあ返さないと」
・「ぐぬぬ……」
・ぐうの音も出ないイナバ。
・そしてベッドの上にディスクを広げるコッコ
・それらを再生すると、ドレスがいくつも出てくる
・「さあ。マータちゃん。どのドレスがいい? ホテルの展望台のレストランなんだから、オシャレに行くべきだよ!」
・「は、派手すぎない……?」
・「コッコはどうするんだよ。ドレスか?」
・「いいや。ボクは……」
・シャツを着て、タイをしめ、ベストを羽織り、スラックスを履くコッコ
・「このコートは。元から騎士の制服だから」
・そこでコートを羽織れば、正装姿になった。
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