振動と水
〇交渉係の襲撃。部屋から脱出
・「ちょっと!? いきなり爆破するなんてひどいよ!?」
・「俺が仕掛けたトラップじゃねえ! これは外部からの攻撃だろ!」
・「それを信じろと?」
・「俺の見解ではそうだってだけだ!」
・「わかってる。ちょっと意地悪言った! ごめんね!」
・ひっくり返った部屋の中。警備のオートマトンも全損し、部屋ごと潰れかけている。
・そんな中でコッコは咄嗟にイエローブリックロードを使い、潰れかけた部屋を支えて崩壊を防いでいた。
・「マータちゃんは大丈夫?」
・「大丈夫だよ。ココねー」
・マータは答える。咄嗟に自分はテーブルの下に潜り込んで避難していた。
・「でも外部からの攻撃って? 地震みたいな振動のように感じたけど」
・「この辺りじゃ地震なんて滅多に起きねえよ。それに、ざっと見たところ被害があったのはこの部屋だけだ。こんな『異常現象』は異能でしか起こせない」
・「この部屋を狙ったとして、目的は? ボク達を潰そうとした?」
・「いいや。そうとも思えない。確実にやるつもりなら第二波。第三波と追撃が来るハズだ。それがないってことは……むしろこちらの対応を観察している可能性が高い」
・コッコとイナバの相談。状況分析。戦い慣れした対応。
・「下手に逃げようとしても向こうはそれを見越して罠を張ってるってこと? じゃあこのまま死んだふりしてやり過ごすってのはどう?」
・「どうかな……そんな甘い話ではなさそうだ」
・ぴちゃり、とコッコの額に水滴が落ちる。
・見ればあちこちが浸水し、水が漏れている。水道管が破裂しているらしい。
・「ひょっとして水攻め?」
・「馬鹿な。ここは十三階だぞ? 水没なんかするわけない……」
・瞬間。コッコの髪が何者かによって掴まれる。
・そのまま引き倒され、数センチの水たまりに押し付けられる。
・「な、何だこの手は!?」
・その手は、水たまりの中から伸びていた。イナバはコッコから手を剥がそうとするが、人形の力では上手くいかない。
・先にコッコは動いた。
・プレイヤーにディスクを挿入し、吹き込まれた物質を再生し、それでもって腕に切りつけた
・手は切断される前にコッコから手を引き、水たまりの中に逃げ込む。
・「ぶは……! 危ない油断してた!」
・騎士剣『ニルヴァーナ』。ディスクから再生されたのは、ショートソードとメイスを節で繋いだ三節混のような武器だった。
・「その騎士剣は……」
・「知ってるの? 先生から貰ったんだけど。やっぱり先生はこれを使って大活躍してたんだね!」
・「いや……珍品だからって質屋に入れようとしていた」
・「先生ェ……」
・一度は切り抜けたものの、危機的状況であることは変わりない。
・「さっきの攻撃。なんだと思う?」
・「とりあえず水を媒体にした攻撃だって事は間違いない。となると、ここに留まり続けるのはマズい」
・「けどこの能力はさっきの地震とは違う能力だよね? 迂闊に出たら……」
・「このままではマータも危険だ。護り続けられるかもわからんだろ」
・「せめて地震の能力の場所が分かれば……」
・「マータ。わかるよ」
・マータが発言する
・「地震が起こる前に、そのちょっと前に、少しだけ音がしていた。距離はわからないけど、方向ならわかる」
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