【物語は】
クライマックスから始まっていく。
主人公視点で語られていく物語であり、短編ではあるが伏線があちこちに張られている印象。前世を覚えている彼女と前世でその彼女を愛した主人公の物語。
タグにはどんなラストなのかを想像させるものはないので、この時点ではどんなラストになるのか分からない。ただ、不穏な空気を漂わせており、ここに至るまで何があったのだろうかと興味をそそる。
【主人公と彼女】
主人公は何かと不審な言動があるように感じる。
それは愛した女性に嫌われるのが怖いかならなのだろうか? と初めは思う。とても巧いエピソードの作り方であり、展開となっている。
主人公の性格よりも、彼女の性格の方が分かりやすい。主人公は本来どんな性格だったのか分からないが、そこまで執着するほどに愛していたのだと思われる。
【ターニングポイント】
主人公に有利であると思われた、もしくは幸せなまま終わるのではないかという想いは一瞬冒頭のクライマックスを忘れさせてしまうものである。
ここも凄く巧い展開だなと感じた。
主人公にとってのターニングポイントは、恐怖への入り口。
彼が何を恐れているのか? 明確であるものの真実はここでは明かされていない。匂わせでその可能性を想像させるものはあるが。
乗り越えられるのではないだろうか? とも思わせる。
彼女の真意はラストに分かるが、態度から何を考えていたのか後に分かることとなる。(それは想像ではあるが)
【物語の見どころ】
自分がこの作品に出逢ったきっかけは、短編の難しさ、そしてその書き方のコツを知りたいということが発端で縁となった。
物語としても非常に面白いし、どのように匂わせをするのか?
伏線をどのように回収するのか、とても勉強になる物語だと思う。
確かに恋愛ものではあるが、ミステリー要素、ホラー要素も含んでおり、ゾッとしたりハラハラドキドキしたりする物語である。
そして幕引きもとても巧い。
あなたも読まれてみてはいかがでしょうか?
主人公の思惑と真実。そして彼の恋は叶ったのか?
その目でぜひ確かめてみてくださいね。お奨めです。