第6話 彼女との夢のドライブ計画
「ねぇ、今度一緒にドライブに行かない?」
姫子がそう言ったのは、図書室でのことだった。
他のクラスメイト達は大学入試へと頑張りを見せる中、僕も姫子も推薦入試が終わっていて、図書室で自主勉強をしているように言われている。
「ドライブ?」
「ええ、私も健太くんも大学に行く前に運転免許をとる予定でしょう? だから、大学に行く前にどこか遠くに二人で行かない?」
僕の両親は優しい人なのだが、門限が厳しい上に付き合っている彼女とはまだ手しか繋ぐなと言ってくるほど厳しい。きっと姫子と一緒にドライブに行くと言っても許してもらえないだろう。
「分かったよ。両親には一人で高校最後の旅行に行くって言っておくよ」
「やった」
図書館には僕ら以外誰もいないのに彼女は声を潜めて喜んだ。そんな彼女が可愛らしくて、僕は机の上に出ていた彼女の手に触れようとした。その手を彼女が引っ込める。
「行きたいところがあるんだけど、遠いから交代で運転しようと思ってるの」
ひっこめられた彼女の手は鞄を漁って、手帳を取り出してくる。断じて僕のことを避けたわけではない。手帳にはすでに僕と彼女のドライブの予定が書かれており、彼女がどれだけ僕とのお出かけを楽しみにしてくれているのかが分かった。
「途中で事故を起こさないように高速道路を走る練習とかしないとね」
彼女はそう言いながら、途中のサービスエリアで何が食べたいなどの話を僕に語ってくれた。
だから、僕は考えもしなかったのだ。
サービスエリアで彼女と運転を交代して、彼女が買ってくれたお茶を飲んで眠った後、目を覚ましたら、手足を縛られているなんて。
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