真理亜と再会

辛くはないですか?

宮部さんとの取材が終わり、私と喜与恵は、家に帰ってきた。


宝珠ほうじゅ、お疲れ様です。」


喜与恵きよえ、お疲れ様」


喜与恵は、私の隣に座った。


「宮部さんは、幸せそうですね。」


「あぁ、穏やかな愛に包まれているんだろう。」


「宝珠は、あげれないものですね。」


「知ってるよ。出来たばかりの縁を強固なものにする為には、お互いに沢山喧嘩をしたり、罵倒したり、罵りあったりして行かねばならないものだから…」


「心が、痛みや悲しみで強くなるのと同じように、出来たばかりの縁もまたそうしなければならない事を人間ひとはどこかで知っているのですね」


「そうだね」


私は、喜与恵の手を握りしめた。


「喜与恵とは、想い合っていただけだった時は剥き出しだったね。」


「そうですね」


「でも、あの三年を経たら何と穏やかなものに変わったのだろう」


「そうですね」


「喜与恵、これから先もずっと一緒にいてくれ。例え、あの日々にもどれなくても…。」


『それは、私にも言ってくれないの?』


突然、真理亜が現れた。


「久しぶりだね。元気だったか?」


『喜与恵、宝珠。二人の生活を邪魔しないように、出なかったのよ。』


真理亜は、そう言って笑った。


「三年間、私が過ごしてしまいすみませんでした。」


『喜与恵、謝らないで。私は、嬉しかったわ。喜与恵と宝珠が、そうなれて!肉体のもたない私としてはね。二人には、そうなって欲しかったから』


真理亜は、嬉しそうに笑って話す。


「辛くはなかったですか?」


『辛いなどは、なかったよ。むしろ、喜与恵でよかった。喜与恵じゃなかったら、おかしくなっていたから…。』


「真理亜さん」


『真理亜で、いいわよ。でも、辛いのは二人じゃない。出来ないわけだから…。』


「そ、それは…」


火でも吹いたぐらいに喜与恵が真っ赤な顔をした。


「ハハハ、わかりやすいよ。喜与恵」


『本当、それがしたいって言ってるようなものよ』


「ち、違います。」


「違うのか?それは、残念」


「ち、違わないです。」


『何、それ?変なの』


真理亜もクスクス笑っていた。


「人形師に頼んでみてわと巫女に言われたんです。」


「あー。人形とすればいいのか…。素晴らしいアイディアだな」


『そう言えば、昔いたわね。あの人形師に頼んだ人。覚えてる?』


「覚えてる」


「その方も、人形を使わなければならなかったのですか?」


『今でも一緒に住んでるわ』


「会いに行こうか?明日の取材は、キャンセルにしてもらうよ」


「人形師にですか?」


「両方だよ。真理亜、場所わかる?」


『待って調べてくる』


真理亜は、いなくなった。


あの頃と違って、真理亜は神聖じゃなくても会えた。


「力が下がったのですね。こんな、リビングで会うなんて。」


「そうだな…。あの戦いで、皆、エネルギーを使い過ぎたと聞いた。真理亜も同じだったのだろう」


「凄い戦いでしたから、仕方ありませんね」


「それでも、自分を責めてしまうよ。私は…。」


「それは、宝珠が優しいからではないですか?」


真理亜が、もどってきた。


『宝珠、聞いてきましたよ。』


「紙とペンがいるね!」


喜与恵が、真理亜に渡す。


真理亜は、ペンを使えるから見ていておもしろい。


『はい、どうぞ』


「ありがとう」


「宮部さんも一緒に誘ったらどうですか?」


「それは、いいね!オカルト案件だもんね」


「確かに、そうですね」


『では、気をつけて行ってらっしゃい!また、来るね。人形できたら見せてね』


「わかりました。」


真理亜が、いなくなった。


喜与恵が、私を見つめる。


「人形を作ってもらった方は、三日月のものですよね?」


「ああ」


「私が知らないなんて、あるのですね。」


「幼き頃に、破門にされたからだろう」


「何故、破門に?」


「今では、許されるようになったけど…。昔は、ダメだったんだよ!人形をそんな風に使うのはね。普通の人形とは、違うから」


「そうですよね」


「宮部さんからメッセージきたよ!会いに行くって!」


「楽しみです」


「早めに寝よう」


「はい」


私と喜与恵は、早めに休んだ。




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