宿舎と野良猫


野良猫はいつも居場所を探していた。

この言い方やめるね、恥ずかしい

僕はいつも居場所を探してたんだ

のんびりその日暮らしの生活

まんま野良猫

みんなから野良猫って呼ばれてるから僕自身も「野良猫だ」って自分で自分を呼んでてさ


「あー待って、ねえねえ、日報?日誌?活動報告?ってこういう感じでいいのかな」

「好きに書いていいと思う」

「自己紹介みたいなもんだから好きに書いていい」

「小説っぽく書こうと思ったんだけど」

「無理しなくていいからな」

「わかった……んー……」


野良猫って名前に恥じないように生きようとしたけど大親友がそれを許さなくて

優しい子だよね


この場所を見つけたきっかけは、確か先輩に届け物をしようとして走ってたらここに入るのを見つけて…


「花屋コラ!また花持ってきやがったな!」

「置く場所ならあるでしょう」

「無いから怒ってんだ!」


…。


書くのに集中できないからそろそろ書くの終わります

僕が届け物をした先輩は今お仕事中です

花屋さんは怒られて不貞腐れながらお花にお水をあげてます

ローズさんは花屋さんを怒りながらもお花を大事にしています

マーガロさんは横で僕の文字を読んでます


「文字丸くてかわいいね」

「綺麗?」

「うん、綺麗な文字」 

「えへへ、ありがと」


僕の文字をほめてくれました

アリスさんは


「はぁ……ッはぁ……ッ!!」

……アヤさんだ。

アヤさんにしては珍しく息を切らしてる。

「?アヤさん、一体何が…」

「ま、まえの、にっ、日誌!」

手に持っていたノートを花屋さんに渡すアヤさん。


「日誌…アリスさんが買った一冊目の?」

「そう…この、さ、最後のページ!」

「最後って…あれは隙間までみっちり埋め……何、これ」

「……英語」

「……これ……は……」


ノートに書かれている文章を見て絶句するローズさん、花屋さん、アリスさんの三人。


「なんて書いてある?」

「……白いスーツを着た、男が、踊る」


……白い…男?

白い男が、書き残したメッセージ……!?


その時背を這う温い手。

「!何……あぁ、宿屋か」

「野良、平気?」

「平気だよ……宿屋は」

「…平気じゃない、白い男が…隠れ家を狙ってるって、事なのかな」

「……宿屋の事は僕が守るよ」

「自分の身くらい自分で守れるよ」


彼の事を思い出した。

少し前。

まだ僕達二人が子供だった時、こいつが白い男のせいでどんな目に遭ったかを思い出した。


「宿屋、野良、今日はここに泊まった方がいい」

「用心するに越したことはないか…カルマさんありがと、そうさせてもらうね」

「ひ…向日葵は…?」

「僕が連絡しておきます」

「クロエさん…ありがと」

「いえ」


宿屋の手を握る。

白い男というワードで動揺してカタカタと震えている指先を握る。


「……離れないで」

「もちろん、宿屋も…離れないでね」



最初の犠牲者はローズさんだった。

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