幼馴染

隠れ家のど真ん中に幼馴染三人組が居た。

三人は学生の頃からの親友で、いつもつるんではゲラゲラと笑い、お互いの全てを共有して生きてきた。


「なあマーガロ~」


マスカラを塗りながら幼馴染のうちの一人へ話しかけるローズ。


「うん~?どした~?」

「思ったんだけどさ~、私の好きな服着てたら「男受け狙ってない感じ憧れる」「女受け」って言われる風潮なに?」


ローズは片目を閉じたり目を見開いたりしながらいつも通り愚痴を溢す。


「あー、あるよねそういうの…マジでウザい…」


マーガロはローズの方を向き、同意しながらさっき巻いた髪をヘアスプレーで整えていた。


「いや女受けも何も狙ってないんだけど?強いて言うなら自分受けだわ~って感じ」


マスカラを塗り終わったローズは、マーガロが先程まで使用していたヘアアイロンで自分の髪の毛を整え始めた。


「それマジで分かる…私も姫カットにしてから「自分貫いてて素敵~」って言われてさ」


「うん」


「「好みじゃないけど否定はしないよ?私は優しいから」って言ってるようなもんだよね」


「マジでそれ!なんか期待裏切りたくならね?」


「裏切るって?」


「これからはもう本当、セクシー路線目指してメイクとか服とか決めようかな、こうやって乳出して…足もこんくらい出してやろうか」


ローズはそう言いながら着ているシャツのボタンを外し、自分の足の付け根辺りを指差した。

それを見て笑うマーガロと「流石にエロすぎる?」と首を傾げるローズ。


「出す胸無いくせに何言ってんの」

その時二人の会話をじっと聞いていた者が口を開いた。


「ぶち殺すぞアリス」

「え待ってアリスそのリップ可愛いめちゃくちゃ似合う」

「マジ?嬉しい…ネットでクッソ調べてたらクッソかわいいの見つけてクッソ高かったけどクッソ欲しくて買っちゃった」

「買って正解、マットなのクッソ似合う、クッソ好み」

「ありがとう…これからはお前の為に生きるよ…♡」

「今度貸して?」

「自分で買ったら?」

「んーん、アリスが使ったのがいい♡」

「まっ…マーガロ~♡」

「アリス~♡」

「おいコラ恋人持ちだろイチャつくな、アリス意外と赤似合うじゃん、私の次に」

「えー嬉しいありがとう…私何色が一番似合う?」

「黒じゃね」

「黒かー…黒リップとか買ってみようかな…」

「絶対似合うすぐ買って何でもするから」

「は~いカートに入れました~マーガロちゃん勇気をありがと~」

「…お前の腹と同じ色だから似合いそう」

「ぶち殺すぞローズ」

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