第6話 近頃のアンジュを見るレオンとジュネス


「なあ、にいちゃん。 最近のアンジュって、なんか、カッコいいよね。 ほら、前から見ても、普通の女の子みたいで、しかも、ウエストもくびれているでしょ」


「ああ、胸周りの筋肉がついてきたから、余計にウエストがくびれて見えるね」


「でしょ。 それがさぁ、横から見てもウエストがくびれているんだ。 女の子だから、胸も有るけど、それに胸板の厚みもあって、でも、お腹は、細く見えるから、何だか、どの方向から見ても、とっても、スタイルがいいって感じなんだ。 俺、ちょっと、最近、アンジュと恥ずかしくて、話もできてないんだ」


「ふーん。 話も出来ないじゃなくて、お前、最近、アンジュを見ると、視線を他の方に振ってたのは、そのせいだったのか」


「だってぇ、あの整った顔立ちと、あのスタイルは、反則だろう。 俺じゃなくても、恥ずかしくなるよ!」


「うーん、確かにそうだな。 レオンの言う通りかもしれないな」


「「……」」


「あれ、ジュネス兄ちゃん。 何だか、顔が赤いよ」


「ば、バカを言うなよ。 な、何でもないよ」


「あー、ひょっとして、アンジュの事、思い出していたでしょ。 それで、顔が赤くなったな」


「……」


「兄ちゃん。 黙ったってことは、図星だったんだな」


「ば、バカを言うもんじゃない。 確かに、アンジュは、3人の中で、一番、顔が整っているし、最近、鍛えているから、本当に、スタイルまで綺麗になっているんだ。 あれじゃあ、100人が100人、振り返るだろうし、絶対に言い寄られて、嫌な気分になる男なんていないだろう」


「……。 うん、確かにそうだ。 あの美少女っぷりは、反則級だね」




「ところでさあ、兄ちゃん。 最近、俺の事を睨む男の人が、多いんだ。 全く知らない人からも、睨まれて、何だか、ちょっと、怖い気もするんだ」


「お、それ、俺も一緒だ。 特に、アンジュが一緒の時に多い」


「「……」」


「ねえ、兄ちゃん。 それって、アンジュと一緒に居るからかなぁ」


「……。 多分、そうかもしれない。 ……。 きっと、入学当時のアンジュは、線が細かったし、それに、40代のエルフなんて、子供だって、思われてたけど、俺達と一緒に綱登りをしてたから、腕力も付いてきただろう」


「そうだよね。 アンジュは、凄い弓も引けるようになってたから、弓役として、すごく、良いよね」


「そうだろう。 パーティー決めの時、足手まといだと思っていたアンジュが、すごく、強い弓も引けるようになっただろう。 だからかもしれないな」


「ああ、自分達が、使えないと思っていた人が、気がついたら、自分達を抜いていたから、それが悔しいのか」


「まあ、そうだろうな」


「でもさぁ、それって、自分達に見る目が無かったって事だろう」


「まあ、確かにそうだ」


「それって、逆恨みっていうんじゃないのか?」


「そうだろうな。 ……。 でもな、レオン。 周りは、睨むけど、突っかかってきたり、文句を言ったりはしないだろう」


「うん、そうだね。 その通りだ」


「ダメな人なら、そこで、言い掛かりをつけるだろうけど、自分の見る目が無かった事を棚に上げて、クレームを俺たちに向けるような事はしないんだ」


「ふーん」


「子供のようなアンジュだったけど、今では、トレーニングのおかげで、誰も引けない弓でも、簡単に引くようになった。 強くなる可能性を見誤った事を、指摘されたくなかったんだと思うよ」


「そうだね。 ……。 それに、スタイルも良くなったから、顔だけじゃなくて、体全体から、美人だと訴えているもんね」


「ああ、きっと、他のパーティーの中にアンジュが居たら、それだけでも、周りの男達は、癒されるだろうからね」


「そうだね。 休憩中のアンジュって、シュレとアリーシャ姉さんと3人で話している時って、とても、可愛く見えるよね」


「ああ、それは、認める。 あの3人が、休憩中に、他愛もない会話をしている姿は、とても良い。 それに、シュレが、話をするようになったし、笑うようになった」


「……。 ああ、兄ちゃんは、結局、シュレ姉ちゃんの事の方が、気になるのか」


「そ、そりゃ、そうだろう。 一番長い付き合いなんだ。 子供の頃からの付き合いなんだぞ。 だから、一番気になるに、決まってるだろ」


「ふーん。 そうなのか。 そうだね」


「「……」」




「おい、レオン。 どうした?」


「いや、何でもない」


「そうか、何だか、寂しそうだけど」


「うーん。 兄ちゃんと姉ちゃんって、1日違いで転移してきたでしょ。 でも、俺には、無かったなって、思っただけ」


「そうだな。 それに、ヒョウの亜人って、意外に少ないよな。 お前の相手になりそうな亜人って、見た事ないな」


「……」


「あ、ごめん。 ……。 きっと、これから、見つかるさ。 お前の種族も、きっと、近いうちに見つかるさ」


「……。 本当?」


「そ、そうだよ。 きっと、見つかる。 あ、そうだ、カミューって、エルフの男子だろう。 あれって、とてもレアなケースらしいって聞いたぞ。 カミューと一緒になれたんだから、俺たちは、きっと、運がいいと思うから、これから先、お前の種族とも出会えるよ」


「うん。 そうだね。 ……。 そうか、カミューは、レアなんだ」


「ああ、男子のエルフって、本当に少ないらしいぞ。 学校が終わってからも一緒のパーティーだったら、きっと、カミューには、エルフの女子が、群がってくるはずだぞ」


「ええー、そうなの。 カミューは、いいなぁ。 モテモテじゃないか」


「ああ、きっと、行く先々のエルフ達から声をかけられると思うぞ」


「うわー、カミューって、そうなんだ。 何処に行っても、ハーレムなんだ」


「お前、羨ましそうだな」


「そうだろう、兄ちゃん。 ハーレムは、男のロマンだろう」


「かもな。 だけど、俺は、遠慮しておく」


「何でだよ」


「女が2人以上になったら、絶対に大変だと思う」


「あ、シュレ姉ちゃんは、嫉妬深そうだもんね」


「……」


「ん?」


「あ、いや、何でもない」


「そう」


「「……」」

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