第24話

「うおおおおおおおおおおおおおお!」


 俺はペットのワッフルに顔をうずくめながら叫んだ。


 当然ワッフル俺の行動に嫌な顔をしている。


 ワッフルには悪いが今の俺にはそんなのは関係ない。


 また俺は彼女が出来なかったからだ。


 今回は別にフラれた訳じゃないけど、あれはもうレンにフラグが建ってしまったからもう俺にはチャンスが無い。


 本当だったら俺がフラグを建てて余裕で彼女が出来てたのに…。


 いや、だけどまぁ別に良かったかな。


 カレンちゃんってお嬢様だったから価値観とか合わなさそうだったから。


 価値観って結婚する上で1番重要だから、お嬢様だから俺とは合わなかったかも。


 それに、…それに、……それに。


 …悔しい。


 俺がカレンちゃんの彼氏になる予定だったのに!


「カレンちゃああああああああああああああん!」


「うるさい!」


 俺の叫び声に師匠が注意をしにやって来た。


「なんだよババア」


 ゴンッ!


「イッテェ!」


「誰がババアだ。師匠って呼びな」


「ババアをババアって言って何が悪いんだよ!」


 ゴンッ!


 師匠に思い切り頭を叩かれる。


「イッテェ!おんなじ所叩くなよ!」


「アンタも同じ事言わすな!」


 俺は叩かれた場所を抑える。


 これ絶対にタンコブが出来てるよ、師匠は手加減が出来ない人だからしんどい。

 

 こんな師匠にずっと修行してもらってたから俺は強くなったから感謝はしてる。


「で、ちゃんと仕事はしてきたか?」


「仕事?」


「タクトの件だよ」


「タクトは逃したけど、宝石は返ってきた」


 俺はあまりこの事は喋りたくなかったから端的に伝えた。


「活躍はしたのかい?」


「してなくはない」


「なんだい、その答えは」


 師匠は俺の答えを聞いて呆れた顔をする。


「別にいいだろ、ちゃんと宝石は返ってきたから」


「詳細が気になるから教えな」


「嫌だって言ってんだろ!」


「生意気な口を聞くんじゃないよ!」


 俺はまた師匠に叩かれる。


「イッテェ!せめてさっきと違う所叩けよ!」


「アンタが素直に答えたらこんな事になってないよ」


「もう分かったよ!教えるから手を降ろせ」


 俺は師匠があまりにしつこいから依頼が来た時から今までの事を答える。


 もちろん彼女が欲しいみたいな事を省いて。


「情けない、私の弟子なのに」


 その言葉に俺はただただ黙ることしか出来なかった。


「まず遅刻なんかするんじゃないよ」


「うっ」


 今の俺にその正論はキツすぎる。


「遅刻をして良いのは私みたいに偉くなってからだね」


 これ説教の仕方あってる?これだったら偉くなったら遅刻しても良いよと言っているだけだ。


「タクトの変装を気づいたのは評価するけど、まさか逃すなんてね」


「うっ」


 さっきから俺、これしか言ってなくね?


「お前の事だからどうせ相手を傷つけたくないから手を抜いただろ?」


「それは…」


 確かに俺が本気で切りかかっていたら捕まえる事が出来るかもしれないけど…。


「力を制御するのと手を抜くのは違うって何度も言ってるだろ」


「分かってるって」


「分かってないからこうなった訳だろ」


「…」


 反論出来ない。


「そもそも師匠達が来てくれたらこんな惨めな思いせずにすんだのに」


「こっちはどうしても手が離せない用事があったんだよ」


「何だよ、その用事って」


「いずれ分かる」


「何だよそれ」


「そんな事より情けない弟子の為に特訓してやる」


「え…」


 俺は一瞬固まってしまったが、すぐに逃げる為に動き出した。


「待ちな!」


 師匠は俺の首根っこを掴み、逃がさないようにした。


「私から逃げようなんて100年早いよ」



 そこからキツイ特訓が何時間も続いた。


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