第25話
たくさん愚痴も吐いたからまた今日から彼女作りを頑張っていこうと思う。
やっぱり愚痴はいっぱい貯めておくより定期的に吐き出した方が心が安定するな。
そんな事よりも今学園中は騒がしくなってる。
みんながみんなソワソワして何かを待っているみたいで餌を待ってるワッフルを思い出してしまう。
別にみんなは餌を待ってる訳じゃなくてお祭りが開かれるからソワソワしている。
年に一回だけ開かれるお祭り、オズマサール学園の学園祭がもう少ししたら始まる。
オズマサール学園は学園の中でも1番大きな学園だから、そのオズマサール学園が学園祭をやるんだから他の国からやってくる人だって少なくない。
他の国のお偉いさんが来るとか来ないとか、噂があちらこちらから飛び交ってる。
じゃあ何やるかって話だよな?
クラス対抗で魔力を使って色々な種目をこなしていって優勝を決めたり、学年別で強い奴を1人決めるトーナメントをやったりする。
クラス対抗は魔力を器用に使える奴が活躍するけど、強いかどうかは分からない。
逆に強い奴はトーナメントでは活躍するけど、魔力を器用に使えるかはまた別の話だ。
だからみんなに活躍するチャンスがあるのがこのお祭りだ。
祭りだからもちろん屋台とかも建てて、食べ物を食べながら応援をする。
それがオズマサールの学園祭だ、楽しそうだよね?
俺は全然そうは思わないけどね。
はしゃぎたいなら勝手にはしゃいだらって話。
そもそも祭りって神仏や祖先をまつる事を祭りっと言って、はしゃぐだけの行為は祭りでは無い。
祭りの意味をもう一度辞書で調べてほしい、俺はちゃんと祭りをやりたいよ。
「こんにちは」
「こんにちは」
祭りの意味も知らないバカの事を怒っていたら部室に着いていた。
部長を見たらちょっとだけ怒りが収まった。
「レンは?」
「レンは遅くなるんじゃないんですか?」
「うん、了解」
レンは最近クラスの奴らと打ち解けてきたからそいつらと話してきてから来ると思って遅れると部長に伝えた。
最初は俺とお前は嫌われてたはずだったのに、どうしてこう差が開くばかりなんだ。
それに昨日レンとマイちゃんとカレンちゃんの3人で昼飯を食べてる所を見てしまった。
…俺とレンの差って何ですか?
ここまで違うのは何が原因か分かる人がいたら恥ずかしがらずに言って欲しい、ちゃんとお金あげるから。
俺まだ異世界に転生して良かったーって思った事ないから。
「もうすぐ学園祭だね」
俺が勝手に脳内で落ち込んでいたら部長が話しかけてくれた。
「そうですね、みんなずっとソワソワしてますね」
「そうだね」
「部長はそうでも無いですね」
流石は部長だ、祭りの意味を理解してる。
ただはしゃいでる奴らとは違う。
部長はいつだって俺の味方でいてくれるから好きなんだよなぁ。
「僕は5回目だからね」
部長は中等部からだから今年で5回目になる。
「そういうもんですか?」
「そういうもんだよ」
なんか思ってたのと違ったけどまぁいいか。
「ジンは楽しみじゃないの?」
「俺は楽しみじゃないです」
俺は思った事を素直に答える。
「どうして?ジンは初めてだよね?」
「初めてです」
「じゃあ楽しめると思うけどなぁ」
「そんな事ないですよ」
俺は部長の言葉に俯いて答える。
部長の純粋な気持ちに俺はあまり否定したくはない。
「何か競技は出るの?僕応援しに行くよ?」
「いや、大丈夫ですよ」
「いやいや、僕結構暇だからいつでも観に行けるよ」
「いやいやいや、大丈夫ですよ」
「いやいやいやいや、観に行くよ」
やっぱり部長は優しい。
優しいからこそそれは逆効果になってしまってる。
「俺、参加出来ないんです」
「え…」
「魔力無いんで」
「…ごめん」
「いえ」
…俺も参加したかった。
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