第21話
レンside
ここの屋敷は大きい。
中に入るとこれはまた豪華な装飾で目が奪われてしまう。
壁に普通に飾っているあの絵もすごい値段するんだろうな。
今回は警備の数が少ない、サテライトの奴らが忙しいらしい。
こんなので大丈夫なのか?あの世紀末の大怪盗であるタクトを相手にするんだぞ?
「よく来てくれました」
試験をしてくれたあの執事が迎えてくれた。
「じゃあ、配置は前に言っていた所へお願いします」
「はい」
用意されている配置に着いた。
ここはかなり良い位置で、宝石のすぐ近くに配置してもらえた。
試験で認めてもらえた証拠だな。
「緊張してる?」
ボランティア部の部長であるシューヤさんから声をかけられた。
部長と配置されている場所が近いため話しかけて来てくれたんだろう。
「していません。…と、言いたいんですけど緊張しています。なんせあの世紀末の大怪盗であるタクトを捕まえようとしてますから」
「そうだね。でも、その緊張は悪いものじゃないからね」
部長は緊張している姿を見て励ましてくれた。
「はい。ありがとうございます」
「まぁでも、今から夜まで暇だからね」
「そうですね、こんなに早く集まる必要ありました?」
「仕方ないよ。予告状通り来るとは限らないから」
「いや、タクトは予告通りきますよ」
「そうかな?」
「多分ですけどね」
「とりあえず、気は抜かないようにね」
「はい」
***
残り3分になった。
「予告だとあと3分でタクトが来ます」
執事の人が声を上げる。
とうとうこの時が来た。
「残り1分」
少し体を動かす、すぐに体が動くように。
「3…、2…、1…、来ます!」
パンッ
屋敷の中が一瞬で暗くなる。
「落ち着いてください。今電気をつけに行ってもらってます」
パンッ
明かりがついた。
「無い!宝石が無くなってます!」
「あの一瞬で…」
「俺、まだ外にいるかもしれないので探してきます!」
急いで屋敷の外へと向かう。
「ちょっと待って、レン!」
「ごめんなさい。俺行きます!」
部長の静止を聞き流して急いで屋敷から出て行く。
門から出て右に向かう。
屋敷を囲っている木が多く生えている場所に走っていく。
「おい、何してんだ?」
声をかけられた。
「何だ、ジンかよ。びっくりさせるなよ」
こいつは自宅で待機じゃなかったのかよ。
ジンはなぜか睨んでくる。
「こっちの方にタクトが逃げて来てないか?」
「いや、来てない」
「俺は南の方を探してくるからジンは西の方を頼む」
西の方を指差す。
「じゃあ、頼むぞ」
「ちょっと待て」
「どうした?早くしないとタクトに逃げられるだろ」
「お前誰だよ」
は?
「ふざけてんのか?レンに決まってるだろ!」
「ふざけてんのはお前の方だろ。さっさと答えろ、お前は誰だ」
はぁ〜せっかく一ヶ月前からコツコツと名前、部活、友達、口調、とか色々調べたのに。
「隠し通すのは無理か」
あーあ、せっかくここまで上手くいってたのに。
一人称も普段私だから俺にわざわざ変えたのにバレるのかよ。
「私は世紀末の大怪盗タクトです」
私は変装を解き、本来の姿を特別に見せてあげる事にした。
「お前がタクト…」
「一つ聞いてよろしいですか?なぜ私がレンでは無いと気づかれたのでしょうか?」
「あいつは俺の事をジンって呼ばねぇんだよ」
…変な関係性。
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