第18話
俺は深く反省をしている。
ただでさえ魔力が無くてチャンスが少ないというのにチャンスを自ら減らすなんて…。
そんな事してるから俺はいつまで経っても俺TUEEEEEが出来ないんだ。
こんなの今まで聞いた事も見たこともない、寝坊で活躍出来ない転生者なんて。
はぁ〜こんな所女神様に見られたらなんて言われるんだろ?
転生者がこれだったら転生のしがいが無いのだろうか?
「悪いけど、信用が無い人に警備は任せられない。今回は自宅にいてください」
「はい」
俺は今回の依頼を受けることすら出来ない。
自然とカレンちゃんが俺に惚れる可能性はゼロになってしまった。
今回で今の状況を変えようと思ったけど、どうやら無理なのかもしれない。
「君はもう自宅に帰ってもらう。残りの2人はここに残ってください」
「「「はい」」」
俺、レン、部長は同時に返事をしたが、明らかに俺の声だけ小さかった。
2人は残るのに俺だけはトボトボと帰路についた。
こんなにも足が重いものなのか?全然前に進まないんですけど。
カレンちゃんにも怒られてる姿見せたし、もう俺に惚れる事は無いんだろうなぁ。
俺はなんてダサい男なんだ。
「待ってください!」
カレンちゃんの声が聞こえた。
振り返ると俺を追いかけて来たカレンちゃんがいた。
走ってる姿も可愛い。
走ってる姿を見続けるため追いかけっこをしてもいいけどカレンちゃんが可哀想だから俺は足を止めた。
「はぁはぁはぁ」
この距離でも息を切らす事出来るんだ。
「ごめんなさい。止めてしまって」
「いや、俺帰るだけだから全然気にしなくていいよ」
「ふぅー。先ほどキツイ事言われませんでしたか?」
「いやいや、あれは俺が悪いんだし気にしなくてもいいんだよ」
カレンちゃんは俺を心配してここまで追いかけて来てくれたんだ。
「ごめんなさい。依頼したのはこっちの方なのに」
カレンちゃんは少し俯いた。
「いやいやいや!あの執事の人は正しい事しか言ってないから!」
カレンちゃんに落ち込んでほしくなかった俺は慌てて訂正する。
「それでも申し訳ありません」
「俺は大丈夫だよ。あの2人がいたらタクトなんか絶対に捕まえる事が出来るから安心して。じゃあ」
俺は再び帰路に着いた。
普段の俺だったらもっと喋りたいから無理やりにでも会話を伸ばすけど、今回はカレンちゃんに顔を見せるのが情けなかったからすぐに帰りたかった。
「ジン!」
「ぶちょー…」
次に部長が俺の所にやってきてくれた。
「良いんですか?俺の所に来て」
「大丈夫。ちゃんと抜けるって言ってきたから」
「俺の事なら大丈夫ですよ、ちゃんと反省してますから」
「僕はそんな事を言いに来たんじゃないよ」
「じゃあ何を言いに来たんですか?」
「君はここで終わってしまう男なの?」
俺は部長の言葉に思わず首を傾げてしまう。
何を言ってるんだ?この人は。
「何を言っ」
「違うでしょ?じゃあ」
「え?ぶちょー?」
言いたい事を言って帰っていった。
結局部長は俺に何を伝えたかったんだ?
それは家に帰る途中では到底分かる事では無かった。
部長の事だから何か伝えたい事があったんだろうけど俺には難しい。
ちゃんと伝わるようにしてくれよ…。
ダメだ、メンヘラモードになりそうだ。
メンタルが今とても脆いから誰かに悪口を言われたら立ち直れないかもしれない。
もう寝るか。
寝て起きたらメンタルが回復してるかもしれない。
………。
………。
………。
………!
「そうだ!勝手に捕まれば良いんだ!」
俺は布団から飛び起きた。
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